二瀬山勝語

二瀬山勝語（ふたせやま しょうご）

二瀬山勝語は1921年8月7日、大阪府東成郡（現在の大阪市東成区）に生まれた大相撲の元力士で、本名は楠田文雄です。彼は特有の取り口と独特のスタイルで知られ、相撲界において印象的なキャリアを持っていました。

来歴

二瀬山は、1938年5月場所にて初めて土俵に上がります。彼は、同郷の先輩力士である鉄甲宗五郎の助けを受けて、朝日山部屋に入門し、徐々に番付を上げていきました。しかし、彼の昇進はスピード出世とは言い難く、1944年1月場所には東幕下21枚目にまで達し、5勝3敗で勝ち越したものの、彼のキャリアには多くの試練が待ち受けていました。

戦争の影響により、二瀬山は兵役に就き、呉の海兵団に入営しました。そこで彼は、相撲が盛んな環境の中で厳しい稽古を受け、これが彼の後の力士としての成長に大きく寄与しました。1946年11月場所に復帰を果たし、1947年6月には新十両に昇進、1948年10月には新入幕を達成します。

取り口とスタイル

彼は小柄ながらも勇猛果敢な取り口が特徴で、特に上位力士に対する攻撃的な張り手が印象的でした。中でも1952年1月場所において、鏡里喜代治に対して放った張り手が有名です。その際、鏡里は大きな衝撃を受けて動けなくなったと言われています。二瀬山はまた、重心の低さを生かした左四つからの吊り出しやうっちゃりも秀でており、相撲界でも注目を集めました。

1953年1月場所では、鏡里との対戦において彼を破ったほか、羽黒山との取り組みでは思わぬ形で親指を噛み骨折させる事件も起こりました。このような波乱に満ちた試合を経て、彼は8勝7敗という成績を残しましたが、三賞受賞は叶いませんでした。彼は横綱や大関相手に対抗できる力量を持ちながらも、幕内上位ではなかなか勝ち越せず、その運は厳しいものでした。

引退とその後

1958年5月場所を最後に現役を退いた二瀬山は、年寄・大鳴戸を襲名しました。翌年には部屋を独立させるものの、師匠である朝日山の急逝により、二つの部屋を合併させて「新・朝日山部屋」という新たな部屋を誕生させました。彼は多くの力士を育成し、特に高鐵山や若二瀬を関脇や小結に昇進させるなど、指導者としても成功を収めました。また、沖縄県出身の初の幕内力士や、トンガからの弟子を迎えるなど、多様性のある力士たちを育て上げました。

最期

彼は1975年10月14日にくも膜下出血により54歳で死去しました。彼の死後、弟子の若二瀬が部屋を継承し、二瀬山勝語の教えは次世代の力士たちにも引き継がれています。彼の遺産は今でも相撲界に残り、多くの人々に愛されています。

主な成績

通算成績は311勝354敗で、幕内成績は187勝224敗。在位は53場所中28場所を幕内で過ごし、金星を3個獲得するなど、その存在感を示しました。二瀬山勝語の名は、今もなお相撲ファンの記憶に刻まれています。

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