五姓田芳柳 (2代目)

二代目 五姓田芳柳：近代日本洋画の礎を築いた画家

二代目五姓田芳柳（ごせだ ほうりゅう、1864年9月7日-1943年1月9日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本を代表する洋画家の一人です。茨城県坂東市に生まれ、幼少期から絵画への並々ならぬ才能を示しました。麦の穂を丹念に写生するなど、その観察眼と描写力は群を抜いていました。

1878年、五姓田義松の画塾に入門。その後、工部美術学校の教師であったアントニオ・フォンタネージやチャールズ・ワーグマンらからも指導を受け、洋画の基礎をしっかりと学びました。1880年には初代五姓田芳柳の養子となり、家督を継承。芳柳の号を継承したのは明治20年（1887年）のことです。

明治14年（1881年）には第2回内国勧業博覧会に出品するなど、早くから頭角を現しました。1884年から1年間は新潟県立新潟学校で図画教師を務め、中学、師範学校、女子師範学校の生徒を指導しました。教師生活を終えると郷里に戻り、本格的に画家としての道を歩み始めます。

五姓田芳柳は水彩画の草分け的存在でもあり、明治10年代初めには既に水彩画を描いていたとされています。水彩画作品も現存しており、その高い技術と繊細な表現力は高く評価されています。

1889年には義兄である五姓田義松と共に明治美術会の創立に参画し、創立会員となりました。明治美術会や国内外の博覧会に積極的に出品し、高い評価を受けました。特にパノラマ画やジオラマ制作においては第一人者として知られ、1901年には北清事変の情景を再現したパノラマ画制作のため、北京と天津に調査旅行に出かけるほどでした。

明治美術会の解散後も、精力的に創作活動を続けました。川村清雄らと巴会を結成するなど、常に新しい表現方法を探求し続けました。1910年には農商務省の嘱託として渡英し、日英博覧会に出品したジオラマ作品「日本古代より現代に至る風俗変遷図」は、高い評価を受け名誉褒状を受賞しました。

晩年は歴史画や風俗画を中心に制作し、明治神宮奉賛会嘱託として聖徳記念絵画館の壁画下絵を制作するなど、公共事業にも貢献しました。日本赤十字社の特別社員として活動し、関東大震災の救護活動を主題とした作品も制作しています。

1931年には上野公園で個展を開催し、画家としての活動を引退。芳柳の号を返上しました。1943年、新宿区で亡くなりました。享年80歳。

五姓田芳柳は多くの弟子を育成し、彼らが日本の美術界に貢献しました。『工藝百科大圖鑑』の挿絵を描いた国府田範蔵（後に下妻町町長）、徳永仁臣、鹿子木孟郎、満谷国四郎などがその代表的な例です。

五姓田芳柳の作品は、写実的な描写力と歴史への深い造詣、そして繊細な表現力で知られています。近代日本の洋画発展に大きく貢献した彼の功績は、現在も高く評価されています。彼の作品は、日本の近代史を絵画という形で伝える貴重な資料となっています。多くの研究書や画集が出版されており、その生涯と作品は広く知られています。

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