井戸覚弘 (戦国時代)

井戸覚弘の生涯と功績

井戸覚弘（いど さとひろ）は、戦国時代から江戸時代の初期にかけて活躍した武将であり、旗本としてその名を広めました。彼の家系は大和国に起源を持ち、父親の井戸良弘は尾張国で織田信長に仕官していた一方、覚弘は地元の井戸城に留まり、筒井順慶とその養子である定次に仕えました。その後、定次の伊賀国への転封に伴い、覚弘も一緒に移ることになりました。

彼の軍歴は、朝鮮出兵における武功から始まります。名護屋城に赴いて従軍したのち、織田秀信の配下としてさらに朝鮮に渡ります。戦の功績を評価された覚弘は、現地で得た茶碗10個を賜りましたが、特筆すべきは、そのうちの5個を徳川家康に献上し、残りの5個を豊臣秀頼に献上したことです。これらの茶碗が「井戸茶碗」として知られるようになったのは、後のことであり、家康から返還された一つがその起源であるという異説もありますが、実際には井戸茶碗の名称はそれ以前から存在していました。

慶長13年（1608年）、主君である筒井定次が改易されると、井戸覚弘は大和柳生谷に隠棲することになります。しかし、翌年の慶長14年（1609年）には、江戸に上り徳川家康や秀忠に謁見し、3,000石の石高を得ることとなりました。その後、秀忠の配下に加わり、常陸国真壁郡と下野国都賀郡を合わせて合計3,040石を賜ります。

大坂の陣では安藤重信の傘下で活動し、重信の息子である重長が若年だったため、覚弘は彼に代わって兵を指揮しました。戦乱の時代における彼の果敢な行動は、覚弘が信頼された武将であったことを示しています。彼は寛永10年（1633年）に致仕し、長男である良弘の石高のうちから500石が老後の生活資金として与えられました。

最後に、彼は寛永15年（1638年）の10月17日に83歳でこの世を去ります。彼の遺体は養源寺に埋葬され、歴史の中でその名を残す存在となります。井戸覚弘の子孫には、幕末の長崎奉行や江戸北町奉行を務めた同姓同名の人物もおり、彼の名は後世に引き継がれていきました。

井戸覚弘の生涯は、戦国時代の波乱と江戸時代の安定を反映したものと言えるでしょう。彼の功績や献上した茶碗の伝説は、戦いに明け暮れた当時の武将たちの姿を今に伝えています。

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