交響曲第4番 (ショスタコーヴィチ)

ショスタコーヴィチ 交響曲第4番 ハ短調 作品43

ドミートリイ・ショスタコーヴィチによって作曲された交響曲第4番は、作曲家自身が「我が仕事のクレド（綱領）」と呼んだ意欲作です。全15曲の交響曲の中でも最大規模の編成と演奏難度を誇り、その複雑な構成と内包された感情の深さから、 несправедливо долгое время не оценивалось по достоинству как «скрытый шедевр».

作曲の背景

1935年9月から1936年4月にかけて、約8ヶ月の歳月を費やして作曲されました。当初はアダージョとして構想されましたが、最終的には放棄され、試行錯誤の末に現在の形に落ち着きました。この過程で放棄された楽譜は、《交響的断章「アダージョ」》として知られています。

音楽的特徴

この交響曲は、ショスタコーヴィチの作品の中でも特に演奏が難しいことで知られています。第1楽章のプレストにおける狂気的なフガートは、極めて高い技術を要求します。また、クラスター的な音響や、当時のポピュラー音楽からの影響が見られる箇所も存在します。

マーラーからの影響

作曲中、ショスタコーヴィチはグスタフ・マーラーの作品に強く影響を受けました。交響曲第3番と第7番のスコアを手元に置いていたという証言があり、作品にはマーラーからの引用や影響が随所に見られます。例えば、第1楽章終結部の「郭公の動機」や、第2楽章のトリオにおけるレントラー舞曲、第3楽章冒頭部の葬送行進曲などが挙げられます。

悲運の歴史

完成後、この作品は数奇な運命を辿ります。1936年、ショスタコーヴィチのオペラとバレエがソビエト共産党機関紙で批判され、政治的な圧力を受ける中、交響曲第4番の初演は中止されました。当時の音楽界では、ショスタコーヴィチが形式主義的な作品を書いたという噂が広まっており、当局の介入により、作品は撤回されたとされています。その後、1961年まで、この交響曲が演奏されることはありませんでした。

初演見送り後、ショスタコーヴィチは交響曲第5番を作曲し、名誉を回復しました。しかし彼は第4番を「失敗作だが、いくつかの部分は好きだ」と評し、公演の機会をうかがっていました。1960年代には、総譜が紛失していたものの、パート譜をもとに復元され、キリル・コンドラシンの指揮によって初演が実現しました。

初演と再評価

長らく正当な評価を受けずにいましたが、近年になって再評価が進み、演奏・録音の機会が増えています。オットー・クレンペラーもこの作品に惹かれ、演奏を計画していましたが、実現には至りませんでした。

ショスタコーヴィチは最晩年、「音楽の代わりの支離滅裂の後、指導部が私に懺悔を強要したが、私は拒否した。その代わりに交響曲第4番を書いた」と述べています。

楽曲構成

全3楽章から構成され、各楽章は最弱音で終わります。演奏時間は約60分です。

第1楽章: Allegretto poco Moderato - Presto
ソナタ形式。3つの主題を持ち、ベートーヴェンの英雄交響曲のように多様な要素が詰め込まれています。プレストのフガートは特に印象的です。
第2楽章: Moderato con moto
スケルツォ。厳格なフーガと、交響曲第5番の主題を予告するトリオが特徴的です。ラテン音楽風のリズムも現れます。
第3楽章: Largo - Allegro
終曲。葬送行進曲風の序奏から始まり、様々な要素が展開されます。コラールが奏でられた後、静かに終結します。

編成

ショスタコーヴィチの交響曲の中でも最大規模の編成を必要とします。

木管楽器: ピッコロ2、フルート4、オーボエ4、小クラリネット、クラリネット4、バスクラリネット、ファゴット3、コントラファゴット
金管楽器: ホルン8、トランペット4、トロンボーン3、チューバ2
打楽器: ティンパニ2、シンバル、大太鼓、小太鼓、シロフォン、タムタム、グロッケンシュピール、チェレスタ、カスタネット、ウッドブロック
弦楽器: ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

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