人生劇場 飛車角と吉良常

映画『人生劇場 飛車角と吉良常』の詳細

1968年10月25日に公開された『人生劇場 飛車角と吉良常』は、東映東京撮影所が製作した任侠映画です。監督は内田吐夢が務め、尾崎士郎の小説『人生劇場』の「残侠編」を原作としています。本作は、1963年に沢島忠監督が手がけた『人生劇場 飛車角』のリメイクであり、東映ヤクザ[[映画]]の歴史において重要な位置を占める作品です。1968年のキネマ旬報年間ベストテンでは第9位にランクインし、任侠映画として初の快挙を成し遂げました。配給収入は1億5848万円を記録しています。

制作の背景

内田吐夢監督は、1936年にも日活で『人生劇場』を映画化していますが、その際は「青春篇」であり、任侠映画ではありませんでした。そのため、本作は内田監督にとって唯一の任侠映画となります。プロデューサーの俊藤浩滋は、『人生劇場 飛車角』を観て感銘を受け、内田監督にオファーを出しました。内田監督は、過去に『宮本武蔵シリーズ』の撮影を終えた後、他社からのオファーを断り、東映のオファーを受けることとなりました。内田監督はリメイク作品には消極的でしたが、「青春篇」と「残侠編」の違いを考慮し、本作の制作に臨みました。彼は過去の「青春篇」では青成瓢吉に自己を投影させていましたが、本作では辰巳柳太郎が演じる老侠客に自己を重ねています。

スタッフ

製作：大川博
企画：俊藤浩滋、大久保忠幸、吉田達
監督：内田吐夢
助監督：三堀篤
脚本：棚田吾郎
原作：尾崎士郎
撮影：仲沢半次郎
音楽：佐藤勝
美術：藤田博
録音：小松忠之
照明：梅谷茂
編集：長沢嘉樹

出演者

飛車角：鶴田浩二
小金：若山富三郎
おとよ：藤純子
青成瓢太郎：中村竹弥
寺兼：大木実
黒馬先生：信欣三
丈徳：天津敏
デカ虎：山本麟一
村井国夫
熊吉：山城新伍
大横田：遠藤辰雄
奈良平：名和宏
高見：亀石征一郎
白鉄：八名信夫
北川恵一
サブ：伊達弘
佐藤晟也
警官：関山耕司
吹岡：岡野耕作
小林稔侍
青成瓢吉：松方弘樹
お袖：左幸子
吉良常：辰巳柳太郎
宮川：高倉健

キャスティングの裏話

当初、吉良常役には三船敏郎が有力候補として挙がっていましたが、最終的には辰巳柳太郎が演じることになりました。これは、東映の看板女優であった佐久間良子が契約更新で揉めていたことが背景にあります。佐久間が他社作品に出演したことへの見返りとして、三船敏郎が東映社長に交渉したものの実現には至りませんでした。

興行収入と社会現象

1968年はメキシコシティオリンピックが開催され、テレビ中継が高視聴率を記録し、映画興行に大きな影響を与えました。しかし、東映の岡田茂が大人入場料の値上げを断行し、結果として配給収入は1億5848万円を達成しました。この値上げは、映画業界全体に影響を与え、後の映画の日入場料半額案にも繋がりました。

同時上映

本作は、『夜の歌謡シリーズ 命かれても』（脚本：成沢昌茂、監督：鷹森立一、主演：梅宮辰夫）と同時上映されました。

参考文献

俊藤浩滋、山根貞男『任侠映画伝』講談社、1999年。ISBN 4-06-209594-7。

外部リンク

人生劇場 飛車角と吉良常 - 日本[[映画]]データベース
人生劇場 飛車角と吉良常 - allcinema
人生劇場 飛車角と吉良常 - KINENOTE

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