仇台

仇台（きゅうだい）

仇台（きゅうだい、クド、朝鮮語: 구태、生没年不詳）は、『北史』や『隋書』といった中国の史書にその名が記されている、古代百済の始祖とされる人物です。彼の存在は、百済の歴史を語る上で欠かせないものですが、その出自や業績については様々な説が存在し、史料によっても記述が異なるため、多くの謎に包まれています。

史料における記述

『北史』・『隋書』: これらの史書では、百済の祖先は高句麗から出たとされています。その中で、仇台という慈悲深い人物が現れ、当初は帯方郡の故地に国を建てたと記されています。また、後漢の遼東太守であった公孫度が娘を嫁がせ、東夷の強国となり、「百済」と号したとされています。
『周書』: 一方、『周書』では、百済の祖先は馬韓の属国であり、夫余の別種であるとされています。仇台という人物が帯方郡の地に国を興し、毎年四回、始祖である仇台の廟を祭る風習があったと記されています。
『三国史記』: 『三国史記』の雑志・祭祀条には、「百済は、始祖である仇台廟を都城に建て、春夏秋冬毎年四回祭祀する」と伝えています。

人物像と「百済」の名の由来

史料における仇台の記述は、百済の建国神話と深く関わっています。特に、『北史』や『隋書』に見られる公孫度との関係は、百済の勢力拡大において重要な役割を果たした可能性を示唆しています。また、「百済」という国号の由来についても、様々な解釈が存在します。

百済を「クダラ」という日本語は明らかではないものの、仇台は「クド」と読むことができます。「クドラ」の「ラ」は日本語で親愛を現わす後置詞であることから、「クドラ」すなわち仇台の子孫、または仇台の民という意味で「クドラ」と言ったという説があります。それが日本語の「クダラ」という言葉になった理由であると考えられています。

考証

中国の史料である『北史』、『隋書』、『梁書』、『冊府元亀』は、百済の始祖を仇台と記録しています。仇台は、同時代の夫余王である尉仇台と類似した人名であるため、仇台と尉仇台の間に関連性を指摘する見解も存在します。

家族

妻：公孫度の宗女（公孫度の娘とも妹とも）

仇台に関する情報は限られていますが、彼の存在は百済の歴史を理解する上で重要な鍵となります。今後の研究によって、彼の人物像や百済建国における役割がより明らかになることが期待されます。

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