伊地知重興

伊地知重興

伊地知重興（いぢち しげおき）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、島津氏の家臣です。大隅国の国人である伊地知氏の9代当主であり、下大隅に位置する垂水、田上、高城、下之城などの城を領有していました。

生涯

父である伊地知重武は、島津氏の当主である島津勝久の家老を務めていました。重興もまた、島津宗家を継いだ伊作島津家の島津貴久に従いました。1556年（弘治2年）には、蒲生氏討伐に参加しますが、後に島津氏に対して反旗を翻します。永禄年間には、肝付兼続や禰寝重長と同盟を結び、島津氏と敵対しました。

しかし、1572年（元亀3年）9月には、家臣の伊地知重矩が守る小浜城が島津歳久によって落とされ、さらに翌1573年（天正元年）には、盟友であった禰寝重長が島津義久に降伏したことで、状況は悪化します。1574年（天正2年）3月、重興は裏切った禰寝氏を討つべく、肝付氏と共に出陣しますが、肝付家の家臣である安楽兼寛が守る牛根城が島津氏に降伏・開城したことで、形勢は不利になります。これにより、重興は全ての領地を差し出し、剃髪をして島津氏に降伏しました。ただし、下之城だけは返還されています。

降伏後は、島津氏の家臣となり、周防守に任じられ、日向国伊東氏の高原城攻めや大友氏攻めなどで活躍しました。1580年（天正8年）に亡くなりました。

逸話

重興には、豊後国から招いた側室がいました。しかし、この側室が家中の者と密通したため、重興は側室を櫃の中に多数の蛇と共に閉じ込め、垂水の池に沈めて殺害しました。その後、この側室が祟りをなしたことから、赤明神として祀り、氏神としたと伝えられています。

参考文献

* 『本藩人物誌 鹿児島県史料集8』（鹿児島県立図書館）

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