伊東岩男

伊東 岩男（いとう いわお）は、明治21年（1888年）8月24日に生まれ、昭和41年（1966年）12月23日にその生涯を終えた、大正から昭和にかけて活動した日本の実業家、政治家です。旧姓は関山。

生い立ちと初期

宮崎県南那珂郡、現在の北郷村（後の北郷町を経て、現日南市）にて、関山宗被の二男として生を受けました。明治39年（1906年）に宮崎県立農学校（現在の宮崎県立宮崎農業高等学校）を卒業。大正7年（1918年）、同じ南那珂郡内の油津町（現日南市）にあった伊東家のスマエ（先代善衛門の長女）と結婚し、婿養子として伊東家の家督を継ぎました。

地域政治から県政へ

卒業後、南那珂郡農会で技手として勤務した経験を持つ伊東は、その後、政治の道へと進みます。まず北郷村会議員、続いて南那珂郡会議員を務め、地域の発展に貢献。大正12年（1923年）には宮崎県会議員選挙に当選し、以後4期にわたり県政に携わりました。この県議在任中、伊東は県当局に対して安易に追従することなく、自らの信念に基づき堂々とした論戦を展開したことで知られています。

実業界での活動と多様な顔

政治活動と並行して、伊東は実業家としても多岐にわたる事業に関わりました。南那珂郡十ヶ町村組合会議員や油津町会議員、所得調査委員といった公的な役職に加え、有限責任南那珂郡購買利用組合長、宮崎県耕地組合協会理事、同自動車組合協会理事、同自動車組合連合会長、同運輸組合連合会長などを歴任。さらに、日本武道具、新興竹材工業、新興製品配給、新興食糧、日本建築といった様々な分野の会社の社長も務め、その経営手腕を発揮しました。また、農村問題研究所長として、地域経済や農業に関する調査・研究にも関心を持ちました。

国政での活躍

昭和11年（1936年）2月に行われた第19回衆議院議員総選挙において、宮崎県選挙区から立候補し初当選を果たします。第20回総選挙でも再選されましたが、昭和17年（1942年）4月の第21回総選挙では惜しくも落選しました。

戦後、昭和21年（1946年）4月の第22回衆議院議員総選挙で、自身が新たに結成に関わった日向民衆党の公認候補として再び宮崎県選挙区から出馬し、国政への復帰を果たしました。その後、昭和27年（1952年）の第25回総選挙から昭和30年（1955年）の第27回総選挙まで、宮崎県第2区において連続して再選され、衆議院議員として通算6期を務め上げました。

この間、所属政党は日向民衆党が日本協同党と合同して協同民主党に改組され、その後も変遷を経て最終的には自由民主党に至ります。衆議院では、図書館運営委員長や補助金等の整理等に関する特別委員長といった重要な役職を歴任。さらに、石橋内閣および第1次岸内閣では郵政政務次官として政府の一員としても活動しました。党務においては、日向民主党委員長、協同民主党代議士会長、日本民主党会計監査、自由民主党総務などを務め、党運営においても力を発揮しました。

日南線建設への貢献

伊東岩男の政治家としての功績の中でも特筆すべきは、郷土の念願であった日南線の建設実現に尽力したことです。その実現に向けて積極的な働きかけを行い、路線の敷設に大きく貢献しました。

昭和33年（1958年）5月の第28回総選挙にも立候補しましたが、この時は次点で落選し、政界を引退しました。

著作と栄誉

生前、『結婚改造』（ひもろぎ書房、1932年）や『戦争と銃後対策』（高陽書院、1939年）といった著作も残しています。また、その長年の功績に対し、北郷町（現日南市）より名誉町民の称号が贈られています。

伊東岩男は、地域に根差した活動から出発し、実業界での手腕と国政での活躍を通じて、郷土の発展と日本の政治・経済に貢献した人物として記憶されています。

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