伊福部氏

伊福部氏

伊福部氏（いおきべうじ/いふくべうじ）は、因幡国に起源を持つ氏族であり、物部氏の一族とされています。この氏族は、奈良時代に公共の務めを担った伴造という役職を持っていました。

由来と系譜

伊福部氏は、『因幡国伊福部臣古志』によると、物部氏の祖である伊香色雄命の子、武牟口命（建牟口宿禰）にまで遡るとされています。彼は日本武尊の征西の際に、吉備津彦命や橘入来宿禰と共に、因幡国へ訪問し、当地の賊を征伐した経歴を持ちます。彼の孫である伊其和斯彦宿祢は成務天皇において稲葉国造の地位を得たと言われています。

また、允恭天皇に仕えた若子臣が、気を飄風に変えたことから気福部臣の姓を賜ったという伝承も残っています。

伊福部氏の歴史

氏の25代目である久遅良は、「豊御食炊屋姫天皇庚辰の年」に「臣連伴造国造諸民の本記」を定め、その後聖徳太子や蘇我馬子の下で、大規模な文書の編纂作業を行ったとされます。26代目の都牟自は646年、孝徳天皇の大化2年に評を設置し、その評督に任命されました。後に斉明天皇四年には冠位を得ています。

著名な人物

伊福吉部臣徳足比女は文武天皇の時代に活躍した采女で、位階は従七位下にあり、708年に他界しています。彼女の遺骨は、鳥取県岩美郡国府町で発見された銅製の骨蔵器に納められ、その銘文は奈良時代以前の貴重な金石文として今に残っています。

不祥事の歴史

伊福部氏には不祥事も記録されています。例えば、廬城部連枳莒喩は459年に娘が物部尾輿の宝飾品を奉納するという騒動を引き起こしました。このような不祥事もありつつ、伊福部連一族は684年の天武天皇の時代に八色の姓の第3位、宿禰姓を授与されています。

社会的役割

伊福部氏は、宮城十二門の一つである殷富門の近くに住んでおり、その門は大化以前から門衛を務めてきたことが知られています。また、伊福部氏に連なる他の人物でも、奈良時代の724年には技術者としての立場を確立し、田地を授与されたという記録も残っています。

結論

伊福部氏は、因幡国に由来し、日本の歴史において重要な役割を果たした氏族です。その起源や役割は多岐にわたり、特に奈良時代においては社会の各方面に影響を与えました。伊福部氏に関する研究は、日本古代史を理解する上で重要な要素であると言えるでしょう。

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