佐和正

佐和正

佐和正（さわ ただし）は、1844年（天保15年）に仙台藩士の家に生まれ、1918年（大正7年）に生涯を閉じた人物です。幕末の動乱期には仙台藩士として活動し、明治維新後には警察官僚、そして青森県知事として活躍しました。その多岐にわたる活躍から、富田鐵之助、鈴木大亮とともに「仙台三傑」と称されています。

生い立ちと幕末の活動

佐和正は、仙台藩士・佐和脩平の次男として生まれ、幼少期は藩校の養賢堂で学びました。その後、江戸にも遊学し、見識を広めました。大政奉還後の京都では、情報収集の任にあたり、奥羽鎮撫総督府が下向した際には、京都を離れ仙台に戻りました。帰仙後、額兵隊出陣の際の檄文を作成するなど、藩のために尽力しました。しかし、戊辰戦争で仙台藩が降伏した後、主戦派として明治元年（1868年）10月に投獄されてしまいます。翌年3月に出獄するものの、主戦派の粛清が行われた際に脱藩を余儀なくされました。その後、明治3年（1870年）に赦免され、再び藩籍に復帰しました。

明治政府での活躍

明治3年、佐和正は明治政府に出仕し、弾正使に任官されました。その後、警視庁に移り、少警視、一等警視と昇進。1879年（明治12年）には、川路利良大警視に随行してヨーロッパ各国の警察制度を視察し、帰国後、日本の警察制度の近代化に貢献しました。1885年（明治18年）には、甲申政変の事後処理のため、伊藤博文特命大使に随行して清国へ派遣されるなど、外交の舞台でも活躍しました。

内務書記官を経て、1889年（明治22年）には青森県知事に就任しました。県知事としては、第1回衆議院議員総選挙の実施、府県制・郡制の施行、県立学校や郡役所の移転問題、明治三陸地震の災害対応など、多岐にわたる課題に取り組み、県政の発展に尽力しました。約7年間という長期にわたる在任は、官選知事の中では最長となっています。1896年（明治29年）に知事を退任し、1897年（明治30年）には、錦鶏間祗候を拝命しました。

その後

その後、1898年（明治31年）には、日本赤十字社の理事に就任し、社会貢献活動にも力を注ぎました。佐和正は、激動の時代を生き抜き、日本の近代化に大きく貢献した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

栄典

佐和正は、その功績により、以下の位階と勲章を授与されています。

1890年（明治23年）11月1日 - 従四位
1895年（明治28年）12月10日 - 正四位
1896年（明治29年）9月21日 - 従三位
1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章
1892年（明治25年）6月29日 - 勲四等瑞宝章

逸話と著作

川路利良が著した『警察手眼』（1876年）の校閲を行っています。
著作として『航西日乗』上中下（1884年）があります。

参考資料

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年
富田仁編『海を越えた日本人名事典』新訂増補、日外アソシエーツ、2005年
安岡昭男編『幕末維新大人名事典』上巻、新人物往来社、2010年

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