健軍駐屯地

健軍駐屯地の概要

熊本県熊本市東区に所在する健軍駐屯地は、陸上自衛隊の西部方面隊における重要な拠点の一つです。西部方面総監部をはじめ、多くの部隊や機関が駐屯しており、地域の防衛・防災において重要な役割を担っています。駐屯地司令は西部方面総監部幕僚長が兼務し、高遊原分屯地を隷下に置いています。

駐屯地の周辺には、大矢野原演習場や黒石原演習場といった訓練施設があり、部隊の練成を支えています。また、益城町には熊本送信所があり、駐屯地外施設として機能しています。地元では「健軍自衛隊」の通称で親しまれ、春には駐屯地前の桜並木が美しい景観を作り出します。

毎年10月には創立記念行事が開催され、地域住民との交流も深めています。過去には、平成28年熊本地震により施設の一部が損壊する被害も受けましたが、復旧が進められています。

健軍駐屯地の歴史

健軍駐屯地の歴史は、戦時中の三菱重工業・名古屋航空機製作所分工場（官設民営工場）の建設に遡ります。1941年（昭和16年）に建設が開始され、1944年（昭和19年）には熊本航空機製作所として完成しました。ここでは、四式重爆撃機「飛龍」が製造され、終戦までに42機が生産されました。

終戦後、工場は「第九製作所」と名称を変更し、1954年（昭和29年）11月8日に陸上自衛隊健軍駐屯地として開設されました。1956年（昭和31年）には西部方面総監部が福岡[[駐屯地]]から移転を開始し、健軍駐屯地は西部方面隊の中枢としての役割を担うようになりました。

その後、1957年（昭和32年）に方面総監部新庁舎が落成し、旧熊本空港（旧陸軍健軍飛行場跡）には健軍駐屯地託麻原分屯地が開設されました。しかし、熊本空港の移転に伴い、1971年（昭和46年）に託麻原分屯地は廃止され、高遊原分屯地が開設されました。

近年の動向

近年では、部隊の再編や新編が頻繁に行われ、組織の強化が図られています。2018年（平成30年）には陸上自衛隊中央輸送隊第5方面分遣隊が新編され、2019年（平成31年）には西部方面通信群が西部方面システム通信群に称号変更しました。2021年（令和3年）には第301電子戦中隊が新編され、2022年（令和4年）には第303地対艦ミサイル中隊が新編されました。

しかし、2023年（令和5年）には第303地対艦ミサイル中隊が石垣駐屯地に移駐するなど、部隊の配置も変化しています。2024年（令和6年）には第304地対艦ミサイル中隊が第7地対艦ミサイル連隊に改組され、勝連分屯地に移駐し、第5地対艦ミサイル連隊が第2特科団隷下に異動しました。

駐屯部隊と機関

健軍駐屯地には、西部方面隊の主要な部隊や機関が駐屯しています。西部方面総監部をはじめ、第2特科団、第5地対艦ミサイル連隊、西部方面後方支援隊、西部方面輸送隊、西部方面システム通信群、西部方面衛生隊、西部方面会計隊、西部方面指揮所訓練支援隊、西部方面情報隊、西部方面音楽隊、陸上自衛隊九州補給処健軍支処、健軍駐屯地業務隊などが挙げられます。

また、陸上総隊直轄部隊としてシステム通信団サイバー防護隊や電子作戦隊、防衛大臣直轄部隊として自衛隊情報保全隊西部情報保全隊、西部方面警務隊、陸上自衛隊会計監査隊西部方面分遣隊、陸上自衛隊中央輸送隊第5方面分遣隊なども駐屯しています。

アクセス

健軍駐屯地へのアクセスは、高速道路では九州自動車道益城熊本空港ICが最寄りで、一般道では国道3号、57号、226号、443号などが利用できます。鉄道ではJR九州鹿児島本線熊本駅、豊肥本線新水前寺駅、熊本市交通局健軍町停留場が最寄りの駅となります。バスでは九州産交バス「自衛隊前」や熊本都市バス「西部統監部前」などが利用可能です。

その他の情報

駐屯地内には、旧熊本航空機製作所の建物の一部が現存しており、九州補給処健軍支処が使用しています。創立記念式典では、グラウンドでの観閲式後、駐屯地前の桜並木通りを封鎖して市中パレードが行われます。観閲部隊は健軍駐屯地や北熊本駐屯地の所在部隊を中心に編成され、航空自衛隊機や海上自衛隊機による祝賀飛行も行われます。

過去の分屯地

かつて存在した託麻原分屯地は、1957年（昭和32年）に開設され、西部方面航空隊などが駐屯していましたが、1971年（昭和46年）に廃止されました。

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