優勝決定戦 (相撲)

大相撲の優勝決定戦について

大相撲において、優勝決定戦は、各地位で最高成績を挙げた力士が複数いる場合に、優勝者を決定するための特別な取り組みです。本割の取組とは別に、千秋楽に行われるこの決定戦は、大相撲のクライマックスとして、多くのファンを魅了しています。

優勝決定戦の概要

歴史

元来、大相撲には成績優秀者を公式に表彰する制度はありませんでした。しかし、1909年6月場所から優勝制度が設けられ、最優秀力士の表彰と優勝額の授与が始まりました。当初は、同点者がいた場合、番付上位の力士が優勝とされていました。

第二次世界大戦後、大相撲人気回復のため、優勝争いへの関心を高める策として、同点の場合は優勝決定戦を行うことが企画されました。1947年6月場所から実施され、早速その場所で横綱・羽黒山ら4力士が優勝を争う決定戦が行われました。

十両以下の各段でも同様に決定戦が行われますが、1950年1月から1956年1月までは、幕下以下では決定戦は行われず、上位力士が優勝となっていました。

実施方法

決定戦は千秋楽に行われます。幕内は結びの一番の後、十両以下は十両の取組終了後、幕内力士土俵入りの前に行われます。ただし、十両優勝に関係する力士が幕内力士と対戦する場合は、幕内取組を中断して行われます。決定戦の順番は、序ノ口から十両まで下位から順に行われます。

組み合わせ

同点が3人以上の場合は、決定戦直前に力士がくじを引き、組み合わせを決定します。過去には12人による決定戦が行われた例もあります。基本的な組み合わせ方法は以下の通りです。

- n人が同点の場合、nが偶数なら、くじで東西に分け、同じ数字を引いた力士同士が対戦します。
- nが奇数なら、同様に東西に分け、余った1人はシードとなります。
- これを繰り返し、最終的に2人になれば通常のトーナメント戦、3人になれば巴戦となります。

ただし、決定戦の形式は時期によって異なり、公平さを考慮してトーナメント形式で行われることもあります。

行司・呼出

決定戦は、出場力士と同じ地位の行司と呼出が担当します。幕内優勝決定戦では、出場力士の最上位者が横綱・大関なら立行司、関脇・小結なら三役格行司、全員前頭なら幕内格行司が務めます。呼び上げは、本割とは異なり、三役以上の力士であっても一声です。

立行司が担当する場合、木村庄之助と式守伊之助が両方いる場合は、原則として庄之助が土俵に上がりますが、過去には伊之助が先に土俵に上がっていたこともあります。立行司がいない場合は、三役格行司が代行します。

また、幕下以下では、本割ではアナウンスされない行司と呼出も決定戦ではアナウンスされます。

勝負審判

直前の取組を担当していた審判が、そのまま決定戦も担当します。十両以下の場合は十両の担当分、幕内の場合は幕内後半の担当分が担当します。

その他

同点の力士は全員出場するため、本割では対戦しない同部屋や親族間の対戦も発生します。

優勝決定戦の主な記録

幕内

- 通算回数：88回
- 2人：77回
- 3人：8回
- 4人：2回
- 5人：1回
- 出場回数：貴乃花、白鵬（10回）
- 取組数：貴乃花（11番）
- 顔合わせ：貴乃花対武蔵丸（5回）
- 決定戦優勝回数：千代の富士、白鵬（6回）
- 決定戦敗北回数：武蔵丸（6回）
- 同部屋決定戦出場：8回
- 近親者決定戦出場：2回

十両以下

- 最低成績：十両9勝6敗、幕下以下5勝2敗
- 最多人数：十両8人、幕下以下12人
- 兄弟対決：藤原対栃不動（序ノ口）
- 全段決定戦出場：常幸龍

備考

- 優勝決定戦制度導入以前には、1度だけ公式に決定戦が行われた例があります。
- 同部屋や4親等以内の親族同士が本割で対戦することはありませんが、決定戦では対戦する可能性があります。
- 親子3代で優勝決定戦に出場した例は大鵬、貴闘力、王鵬の3人のみです。
- 優勝決定戦に敗れても、本割の連勝記録は中断しません。
- 優勝決定戦の結果は、原則として番付には反映されませんでしたが、現在では同地位で決定戦を行った場合、優勝者が上位になります。
- 決定戦で取り直しになったのは過去に1度だけです。
- 出場予定の力士が怪我で出場できなくなり、不戦勝となった例もあります。
- トップ力士が千秋楽を休場した場合、決定戦には出場できず、対戦相手が不戦勝で優勝となります。
- 過去には幕内から序ノ口まで各段の優勝、2位、3位を表彰した場所もありました。
- 1958年5月場所の十両決定戦は、後に「七人の侍」と呼ばれるほど豪華なメンバー構成でした。

記録とエピソード

優勝決定戦は、数々のドラマを生んできました。千秋楽まで勝敗がもつれ込んだ力士たちの熱い戦いは、多くの相撲ファンを魅了します。

同部屋対決や兄弟対決といった、本割では見られない特別な対戦も、優勝決定戦ならではの魅力です。また、過去には、数々の名力士がこの舞台で伝説的な戦いを繰り広げてきました。優勝決定戦は、単なる勝敗を決めるだけでなく、大相撲の歴史を彩る重要な要素となっています。

大相撲の歴史の中で、優勝決定戦は常に注目を集める特別な場所です。その興奮と感動は、これからも多くのファンに語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索