裴叔業

裴叔業（はい しゅくぎょう）

裴叔業（438年 - 500年）は、中国南北朝時代の斉に仕えた軍人です。河東郡聞喜県を本貫とし、裴潜の末裔にあたります。

生涯

裴叔業は若くして弓馬に長け、その武才を発揮しました。南朝宋の時代に官位を重ね、蕭道成（後の斉の初代皇帝）の下で驃騎参軍を務めました。479年に斉が建国されると、屯騎校尉に任じられ、北魏の侵攻に対して軍を率いて防戦しました。

480年には、皇子を益梁南秦三州刺史に任じ、巴蜀地方を統治させるよう上書しました。その後も順調に昇進を重ね、486年には右軍将軍に任じられました。

487年、西昌侯蕭鸞が豫州刺史となると、裴叔業はその下で右軍司馬となり、建威将軍・軍主を兼ね、陳留郡太守にも任じられました。王敬則の下で征西司馬、驃騎司馬を歴任し、491年には寧蛮長史・広平郡太守となりました。

493年、襄陽で兵を起こし、雍州刺史の王奐を殺害するという大胆な行動に出ました。しかし、その才能を惜しんだ武帝によって罪を許され、晋安王蕭子懋の下で征北諮議・領中兵・扶風郡太守に任じられました。その後も蕭鸞の信任を得て、重要な地位を歴任しました。

495年、北魏軍が徐州を包囲すると、裴叔業は蕭坦之の指揮下に入り、徐州の救援に駆けつけました。淮水の柵外に築かれた北魏の二つの城を攻略し、多くの魏兵を溺死させるという戦果を挙げ、黄門侍郎に任じられ、武昌県伯に封じられました。さらに、持節・都督徐州諸軍事・冠軍将軍・徐州刺史に任じられ、徐州の防衛を任されました。

497年、北魏が沔北に進攻してくると、明帝の命を受けて雍州を救援し、都督豫州諸軍事・輔国将軍・豫州刺史に任じられました。

498年、裴叔業は自ら五万の兵を率いて北魏の南兗州が置かれた渦陽を包囲しました。南兗州刺史の孟表が籠城して徹底抗戦したため、裴叔業は魏兵の首を五丈の高さまで積み上げて城内に見せつけるという残虐な行為に出ました。竜亢を攻撃に向かわせた軍が広陵王元羽率いる援軍に苦戦すると、自らも援軍に駆けつけ魏軍を撃破しました。しかし、孝文帝が派遣した王粛と楊大眼率いる十八万の大軍を前に、裴叔業は撤退を余儀なくされ、大敗を喫しました。

明帝の崩御後、裴叔業は寿春に帰還し、蕭宝巻が即位すると、建康の政変を静観しました。499年には、都督南兗兗徐青冀五州諸軍事・南兗州刺史に転じましたが、反乱を警戒され、赴任を中止させられました。人質として子の裴芬之らを建康に送りました。

500年、冠軍将軍の号を受けましたが、建康では裴叔業の反乱を噂する者が後を絶たず、裴芬之は恐れて寿春に逃げ帰りました。蕭宝巻は裴叔業討伐を命じ、崔慧景や蕭懿らを派遣しました。病床にあった裴叔業は、裴植を北魏に派遣して救援を求め、裴芬之を人質として北魏に送りましたが、間もなく死去しました。享年63歳。

子女

裴蒨之（早逝）
裴芬之（北魏に仕え、莫折念生に殺害された）
裴蘭之（早逝）
裴英之（早逝）
裴藹之

伝記資料

『南斉書』巻51 列伝第32
『魏書』巻71 列伝第59
『北史』巻45 列伝第33

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