光収容

光収容とは

光収容とは、アナログ電話回線、N-ISDN、アナログ・低速デジタル専用線といった、従来の通信回線の一部区間を、遠隔多重加入者線伝送装置などを利用して多重化し、光ファイバーケーブルで伝送してデジタル交換機などに収容する技術のことです。一般的に、FTTx（Fiber to the x）と比較して、端末での通信速度が比較的遅いものを指します。

光収容の利点

光収容は、主に以下の目的で導入されています。

通信線路長の長い区間での損失低減: 長距離伝送における信号の減衰を抑え、安定した通信を可能にします。
新築集合住宅など、新規発生需要への経済的な対応: 新たな通信需要に対し、効率的かつ経済的なネットワーク構築を支援します。
需要が集中する地域での地下配管の有効利用: 都市部など、配管スペースが限られた地域での配線効率を高めます。
鉄道線路や特別高圧送電線と並行する区間での雑音低減: 電磁波の影響を受けにくい光ファイバーケーブルを使用することで、ノイズの少ないクリアな通信品質を確保します。

2000年代に入り、ツイストペアケーブルを用いた通信線路の新設が停止された背景もあり、光収容回線は今後ますます増加していくと予想されています。

光収容の構成

光収容システムは、主に以下の構成要素から成り立っています。

RSBM（Remote SuBscriber Module）：遠隔加入者収容モジュール
ADM（Add Drop Multiplexer）分岐多重化装置を用いて、1つの光ケーブルリングで複数のRSBMに収容された回線を多重伝送します。新ノードシステム（NS-8000）のSBM（SuBscriber Module）加入者回線収容装置に接続されることが多いです。
RSBM-S（RSBM- Satellite building）：遠隔局用屋内設置：小型交換機の置き換えとして、一つの局舎に複数設置されることがあります。
RSBM-F（RSBM-Feeder point）：き線点用地上設置：地下部分の光ケーブル化のため、地下管路から地上への引き出し点に設置されます。小型化されており、歩道上にも設置可能です。公衆電話ボックスと一体化されたものも存在します。
RSBM-U（RSBM-User building）：加入者主配線盤用屋内設置：集合住宅やオフィスビルなど、多数の加入者がいる建物内に設置されます。直収電話の光ケーブル化にも用いられます。
RT（Remote Terminal）：遠隔多重加入者線伝送装置
D70形ディジタル交換機へ加入者回線を遠隔収容する装置です。
πシステム
電柱やビルMDFに光・電変換集線装置を設置し、加入者に近い地点まで光ケーブル化を行うシステムです。1つの装置で10回線のメタル回線を収容できます。都市中心部の一部地域で導入されています。

原価配分問題

光収容は、固定電話や専用線など、全ての低速通信サービスで共有されるインフラであるため、会計処理上の原価配分について議論があります。また、その費用を基本料金で負担するのか、通話料金や他事業者の利用料金で負担するのかについても議論があります。

さらに、通信プロトコルがSDHやATMであるため、コストが高いという課題があります。このため、IP網への移行を妨げる要因の一つになっているという指摘もあります。

備考

ミュージシャンの「光収容」は、自宅のインターネット接続に本項で解説した光収容を利用していることが名前の由来となっています。

関連項目

デジタル交換機
ADSL：光収容回線での導入事例

外部リンク

電気通信設備状況 NTT (PDF)

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