内環状線 (郡山市)

内環状線（郡山市）

内環状線は、福島県郡山市の中心市街地を取り囲むように計画された主要な環状道路です。計画では、市の南部に位置する安積町荒井の国道4号あさか野バイパスとの交差点を出発点とし、市役所周辺を含む市街地を巡り、市の東部にある昭和町の東部幹線に至るルートで、市街地をほぼ一周する機能を担う予定です。しかし、現在もすべての区間が開通しているわけではなく、特に国道288号富久山バイパスの接続予定地点から、国道288号と交差した先の福島県道65号小野郡山線に至る一部区間は、未だ供用開始に至っていません。

計画の背景と歴史

郡山市の中心市街地は、JR郡山駅を核として東西方向に大きく広がっています。このため、市街地内の東西方向への移動を円滑にするため、うねめ通り、さくら通り、文化通り、静御前通りといった主要な通りが整備されてきました。しかし、これらの東西の通りを結ぶ南北方向の道路が不足しており、特に1990年代に現在のあさか野バイパスが全線開通する以前は、市街地を通る旧国道4号（現在の昭和通り）を中心に深刻な交通渋滞が慢性的に発生していました。

こうした状況を改善し、市街地への通過交通の流入を抑制することで、中心部の交通を円滑化することを目的として、内環状線の原型となる道路計画が立てられました。これは古く、1933年（昭和8年）に都市計画として決定されています。その後の社会情勢や都市構造の変化に合わせて計画は見直され、現在の計画では全長約14.5キロメートル、全線にわたって片側2車線での整備を目指すこととなりました。

また、東北自動車道の郡山南インターチェンジが整備されることになった際には、市街地とこのインターチェンジを結ぶアクセス道路としての役割も内環状線に求められるようになりました。

整備の進捗と現状

内環状線の整備は、計画決定から長い年月を経て段階的に進められてきました。1990年代までには、郡山南インター線に接続する安積町周辺の区間から、市街地北西部の富田町に至る区間と、市街地北部の富久山町の一部区間が開通しました。これらの先行開通区間の間に残された未開通部分は、周辺地域の土地区画整理事業と連携して工事が進められていきました。

2000年代に入ると、福島県道65号小野郡山線から計画上の終点である東部幹線との合流点までの区間が供用を開始しました。そして、2008年（平成20年）10月7日には、福島県道296号荒井郡山線とJR磐越西線を同時に跨ぐ新しい陸橋が開通し、東西方向の主要な交通軸との立体交差が実現しました。さらに2010年（平成22年）12月21日には、この陸橋から郡山インター線までの区間が開通し、国道49号を経由して東北自動車道郡山インターチェンジへのアクセスが向上しました。その後も、市街地東側の横塚地区などで残る未開通区間の工事が続けられています。

2010年（平成22年）2月には、国道288号富久山バイパス上の富久山大橋が開通したことにより、富久山町の開通区間から富久山バイパスを経由して磐越自動車道郡山東インターチェンジへ向かうルートとしても利用できるようになっています。

開通の遅れと課題

内環状線は、国土交通省の「地域高規格道路」の構想段階である「計画路線」の一部を構成し、都市計画上も早期に整備すべき道路として位置づけられています。しかし、計画決定から80年以上が経過した現在も、一部区間の開通には至っていません。特に市街地東部に残る未開通区間では、用地買収交渉の難航などが原因で工事が進まず、開通の具体的な見通しは立っていない状況です。こうした長期にわたる整備状況は、2019年（令和元年）には日本経済新聞でも取り上げられ、都市計画決定から86年経っても完成しない道路として注目を集めました。

道路の指定と愛称

内環状線は、全線が郡山市によって管理される市道として指定されています。区間ごとに名称が異なり、安積町荒井の国道4号交点から八山田5丁目の国道288号立体交差部までが「郡山市道1-30号荒井八山田線」に、八山田5丁目から未供用区間を挟んで昭和2丁目の東部幹線交点までが「郡山市道1-53号昭和二丁目八山田線」となっています。

また、1981年（昭和56年）には、郡山商工会議所が郡山総合体育館前を通る区間に「すずかけ通り」という愛称をつけました。これは、沿道に植えられたプラタナス（スズカケノキ）の並木に由来するものです。

主な構造物

内環状線上には、河川や鉄道路線、他の主要道路を跨ぐためのいくつかの重要な橋梁や高架橋があります。主なものとして以下が挙げられます。

南川橋: 一級水系阿武隈川水系の南川を渡る橋。全長47.0メートル、幅員23.5メートル、1984年竣工。
富田橋: 一級水系阿武隈川水系の逢瀬川を渡る橋。全長44.6メートル、幅員23.5メートル、1986年竣工。
富田東大橋: JR磐越西線と福島県道296号荒井郡山線を立体交差で跨ぐ橋。全長124.9メートル、幅員25.0メートル、2008年竣工。
末広跨道橋: 国道288号本線（旧国道4号）を跨ぐ高架橋。全長28.8メートル、幅員20.0メートル、1991年竣工。

他の道路との接続

内環状線は、郡山市内の主要な南北・東西を結ぶ幹線道路や通りと多数交差または接続しており、都市内の交通ネットワークにおいて重要な役割を果たしています。具体的には、国道4号あさか野バイパス、国道49号、郡山南インター線、郡山インター線、そして静御前通り、文化通り、さくら通り、うねめ通り、はやま通り、美術館通り（予定）、東部幹線など、多岐にわたる道路と結ばれています。特に、郡山南インター線や郡山インター線を経由することで、高速道路へのアクセスポイントとなります。

全線開通時の利用

計画通りに内環状線が全線開通しても、この路線単独で郡山市街地を完全に一周することはできません。しかし、終点である東部幹線から南へ進み、安積町笹川付近で郡山南インター線に入ることで、内環状線と合わせて市街地の外周部を環状に走行することが可能となります。全ての区間が開通すれば、市街地の交通分散に貢献し、周辺道路の混雑緩和や地域間の連携強化に繋がることが期待されています。

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