前田川克郎

前田川克郎（まえだがわ かつろう）

1939年2月9日、岩手県江刺市（現・奥州市）に生まれた前田川克郎は、高砂部屋に所属した大相撲力士です。本名を高橋勝郎といい、最高位は西関脇でした。170cm、117kgという体格で、左四つ、寄り、突き、押しを得意としていました。

生い立ちと入門

農家の出身で、幼少期から草相撲で活躍していました。中学2年生の時に上京し、1952年9月場所で13歳という若さで初土俵を踏みました。当初は体が小さく、前相撲で6連敗するなど苦労しましたが、20歳を過ぎる頃から体格が成長し、持ち前の突き押しを活かして徐々に番付を上げていきました。走ることは苦手だったそうです。

力士としての活躍

1960年1月場所後に十両に昇進し、4場所で十両を通過。同年11月場所には新入幕を果たしました。「突貫小僧」の異名を取り、幕内上位に進出。1961年3月場所では、同部屋の横綱・朝潮と優勝を争い、12勝3敗で初の三賞（敢闘賞）を受賞しました。同年7月場所には西関脇に昇進し、優勝した大関・大鵬を破るも、7勝8敗と負け越しました。続く9月場所では、初日に大関・柏戸、4日目に再び大鵬を破りましたが、それ以外は全敗という珍しい星を残しました。

幕内時代は、高カロリーのドリンクで体を作り、上位陣を苦しめました。1964年5月場所では、横綱・大鵬の連勝を34で止める殊勲の星を挙げるも、3勝12敗と大きく負け越すなど、成績にムラがありました。長身の力士に苦戦する傾向があり、上位での活躍は安定しませんでした。

引退とその後

1965年11月場所を最後に十両に陥落し、1967年3月場所では東十両15枚目で9勝6敗と勝ち越しました。しかし、場所後の「番付削減」の影響で、翌5月場所には西幕下筆頭に降格。勝ち越しながらの幕下陥落という不運に見舞われ、28歳で引退しました。年寄名跡を得られなかったため、日本相撲協会には残りませんでした。

引退後は、スーパーマーケット勤務を経て、岩手県経済連に勤務しました。1998年11月4日、肺癌のため59歳で逝去しました。

人物像

験を担ぎ、下の名前を何度も改名しました。「克郎」を「勝つだろう」と解釈して「勝雄」にしたり、最終的には「克」一文字にするなど、独特のこだわりがありました。「前田川」という四股名は、同部屋の大先輩である大田山も名乗っていたことがあります。

主な成績・記録

通算成績：445勝480敗 勝率.481
幕内成績：204勝261敗 勝率.439
現役在位：79場所
幕内在位：31場所
三役在位：4場所（関脇2場所、小結2場所）
三賞：3回
敢闘賞：2回（1961年3月場所、1965年5月場所）
技能賞：1回（1964年9月場所）
雷電賞：1回（1961年3月場所）
金星：1個（大鵬1個、1964年5月場所4日目）
連続出場：925番（序ノ口以来、1953年1月場所-1967年5月場所）

改名歴

高橋 克郎（たかはし かつろう、1953年1月場所）
前田川 克郎（まえだがわ -、1953年3月場所-1958年11月場所・1959年3月場所-1963年5月場所）
清錦 克郎（きよにしき -、1959年1月場所）
前田川 勝雄（まえだがわ かつお、1963年7月場所）
前田川 克（- かつ、1963年9月場所-1964年11月場所・1965年5月場所-1967年5月場所）
* 前田川 勝朗（- かつろう、1965年1月場所-同年3月場所）

前田川克郎は、柏鵬時代という大相撲の黄金期に、その激しい相撲でファンを魅了した力士でした。その波乱に満ちた力士人生は、今も多くの相撲ファンに語り継がれています。

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