剣山 (列車)

特急「剣山」：徳島と阿波池田を結ぶ旅

特急「剣山」は、四国旅客鉄道（JR四国）が徳島駅と阿波池田駅の間を高徳線・徳島線・土讃線を経由して運行する特急列車です。この列車は、徳島県の主要都市を結び、観光やビジネスに利用されています。

概要

1996年 3月16日、急行「よしの川」を特急に格上げする形で、「剣山」は3往復で運行を開始しました。これは、淡路島を経由する本四連絡橋や徳島自動車道に対抗するための施策でした。徳島線の線形改良と特急形車両キハ185系の投入により、スピードアップが図られました。

運行開始当初は、土讃線の高知駅まで乗り入れる列車も存在しましたが、2000年に高知駅への乗り入れは終了しました。1998年から1999年にかけては、徳島駅 - 阿波池田駅間に特急「あい」が運行されていましたが、1999年に徳島線の優等列車は「剣山」に一本化され、同時にJR四国管内から定期運転の急行列車が消滅しました。

2005年には、夕方の通勤・通学時間帯に穴吹駅発着の列車が1往復設定されました。また、牟岐線の優等列車として、高徳線特急「うずしお」の一部が牟岐線に乗り入れていましたが、1998年に「剣山」と統合され、牟岐線や阿佐海岸鉄道阿佐東線にも乗り入れるようになりました。しかし、2009年 3月14日には、徳島線から牟岐線に乗り入れる「剣山」が「むろと」に編入され、2011年3月以降は阿佐東線への乗り入れも行われていません。2014年 3月15日のダイヤ改正で、「むろと」の徳島線乗り入れと「剣山」の牟岐線乗り入れが廃止され、運転系統が完全に分離されました。

「剣山」は、運行区間が徳島県内のみで完結する列車です。列車名は、徳島線沿線の山である剣山に由来し、公募によって決定されました。臨時特急の「あい」は、徳島線沿線の特産品である「阿波藍」にちなんでいます。

運行概況

2025年 3月15日現在、徳島駅 - 阿波池田駅間に下り4本、上り3本（1 - 7号）が運行されています。列車番号は号数+4000Dです。

停車駅：

徳島駅 - 蔵本駅 - （石井駅） - 鴨島駅 - 阿波川島駅 - 阿波山川駅 - 穴吹駅 - 貞光駅 - 阿波加茂駅 - 阿波池田駅

石井駅は下り3号、上り4号のみ通過します。また、11月中旬の「にし阿波の花火」開催時には、江口駅に一部の特急剣山が臨時停車することがあります。

使用車両・編成

高松運転所に所属するキハ185系気動車の2両または4両編成で運行されます。普通車のみの編成で、1号車の一部に座席指定席が設けられています。

2両編成のうち2往復（下り1・3号、上り4・6号）については、号車番号が1・3号車となっています。これは、週末や多客期に2号車として「ゆうゆうアンパンマンカー」（指定席）を連結するためです。この場合、ヘッドマークはアンパンマンのイラストが入ったものが装着されます。「ゆうゆうアンパンマンカー」は、マルス上では別列車扱いとなり、列車名は「剣山（アンパンマン）○号」となります。

徳島線 優等列車沿革

徳島本線・徳島線の優等列車の歴史は、戦後の高度経済成長期に運行を開始した小松島港駅 - 徳島駅 - 高知駅間を結ぶ準急行列車「阿佐」「よしの川」に始まります。かつては「阿佐」に松山駅発着の「いしづち」が併結されていましたが、後に廃止されました。

「阿佐」の始発終着駅であった小松島港駅は、本四航路の一つとして、大阪・神戸・和歌山とを結ぶ航路の四国側の港でした。徳島線優等列車は、海路を経て琴平・高知方面と大阪方面を結ぶ経路の一部を担っていました。しかし、山陽新幹線の開業に伴いその役割は薄れ、「よしの川」の高知乗り入れが中止され、小松島線の廃止と同時に「よしの川」が減便されました。

その後、淡路島を経由する本四連絡橋や四国内高速道路の建設・供用開始に合わせて線形改良が施され、本四連絡ルートの一経路として特急「剣山」が新設されました。明石海峡大橋開通時には特急「あい」が登場するなど、徳島線は再び活況を呈しました。「よしの川」の廃止と「剣山」への置き換えを経て現在に至ります。

国鉄時代

1962年：準急「阿佐」運転開始
1963年：「阿佐」の松山駅発着編成を「いしづち」として分離、準急「よしの川」運転開始
1966年：「阿佐」「いしづち」「よしの川」を急行列車に昇格
1968年：「阿佐」を「よしの川」に名称統合、6往復で運行
1969年：「よしの川」を1往復増発、7往復で運行
1980年：「よしの川」の高知駅乗り入れ中止、6往復に減便
1985年：「よしの川」を2往復に減便
1986年：「よしの川」は徳島駅 - 阿波池田駅間のみの運行となる

民営化後

1996年：特急「剣山」運転開始、「よしの川」は1往復に
1998年：「剣山」を牟岐線海部駅・阿佐海岸鉄道阿佐東線甲浦駅まで乗り入れ、臨時特急列車「あい」運転開始
1999年：「よしの川」・「あい」を統合する形で「剣山」を6往復に増発
2000年：「剣山」の高知駅乗り入れを終了し、全列車阿波池田駅発着となる
2001年：蔵本駅・阿波加茂駅に全特急列車が停車するようになる
2005年：「剣山」を徳島駅 - 穴吹駅間に1往復増発
2008年：「剣山」が全車禁煙となる
2009年：阿波池田発海部行き1本が「むろと」に変更
2011年：甲浦始発の下り1本を阿南始発に変更
2014年：「剣山」の牟岐線乗り入れ及び「むろと」の徳島線乗り入れを終了
2016年：穴吹止まりの下り1本を阿波池田駅まで延長
2021年：ダイヤ改正により昼間の1往復が減便
* 2025年：ダイヤ改正により2往復が減便となり3.5往復となる