劉劭 (曹魏)

劉劭（りゅう しょう）

劉劭（りゅう しょう、2世紀 - 3世紀ごろ）は、中国後漢末期から三国時代の魏にかけての学者・政治家であり、字は孔才、広平郡邯鄲県（現在の河北省邯鄲市一帯）の出身です。『三国志』魏書に彼の伝記が収録されています。

生涯

建安年間に許都（当時の魏の首都）に赴き、地方からの推薦で中央の役人となりました。尚書令であった荀彧（じゅんいく）のもとにいた際、太史令から元旦に日食が起こるという報告があり、元旦の会議を実施するか否かで議論となりました。劉劭は『礼記』の先例を引用し、会議の実行を主張し、荀彧に受け入れられました。

御史大夫の郗慮（きろ）に招かれましたが、郗慮が免職となったため、採用は見送られました。その後、太子舎人・秘書郎を歴任しました。

黄初年間には尚書郎・散騎侍郎となり、詔勅により五経の書籍を分類し、類書である『皇覧』の編纂に携わりました。この事業は、魏の文化的な基盤を強化する上で重要な役割を果たしました。

明帝（曹叡）の時代には、地方に出て陳留太守となりました。赴任地では人民の教育と感化に尽力し、その姿勢は高く評価されました。その後、中央に戻り騎都尉に任命され、議郎と共に律を作成し、法学に関する論文である『律略論』を書き上げました。さらに散騎常侍に昇進しました。

遼東の公孫淵（こうそんえん）が呉の孫権と通じ、燕王の爵位を受けようとした際には、朝廷で討伐論が起こりました。劉劭は、公孫淵の父である公孫康（こうそんこう）の功績を挙げ、寛大な処置をすべきだと進言しました。しかし、間もなく公孫淵は孫権の使者を斬り、その首を魏に送りました。

劉劭は賦を作る才能にも長けており、以前に作った『趙都の賦』は明帝に絶賛されました。明帝は劉劭に賦の作成を命じ、劉劭はそれに応えて『許都の賦』・『洛都の賦』を作成しました。これらの賦は、外征と宮殿造営に明け暮れる明帝の政治を批判する内容を含んでいました。

孫権が合肥を攻撃した際、征東将軍の満寵（まんちょう）は孫権を撃退するために兵を召集し、中央に援軍を要請しました。劉劭は明帝の諮問に対し、「満寵らの士気は高く、容易には破られないでしょう。歩兵5000と騎兵3000を派遣し、示威行動をしながら進撃させ、敵の糧道を脅かせば、孫権は撤退するでしょう」と答えました。その結果、孫権は援軍が到着する前に撤退しました。

中央で賢人を求める詔勅が出されると、散騎侍郎の夏侯恵（かこうけい）は劉劭を皇帝の側近として推薦しました。

景初年間に、百官に対する勤務評定が定まらないことを憂慮した明帝の勅命を受け、劉劭は『都官考課』72箇条を作成し、さらに『説略』1篇を著して上奏し、不十分な箇所の訂正を求めました。また、儀礼を制定し、音楽を作って風俗を改めるために『楽論』14篇を作成しましたが、献上する前に明帝が崩御しました。

正始年間に、経書による学問の功績が認められ、関内侯に封じられました。死去後、光禄勲を追贈され、子の劉琳（りゅうりん）が跡を継ぎました。

著作

劉劭は、『皇覧』の編纂に携わったほか、魏の新律に関する『律略論』、『都官考課』、『説略』、『楽論』、そして『人物志』、『法論』など、100篇以上の著作を残したとされています。このうち、『人物志』はまとまった形で現存しています。

関連項目

中国法制史#基本法典の形成（三国時代の魏の新律十八編）

外部リンク

人物志 - 中国哲学書電子化計画

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