劉斌 (前燕)

劉斌（生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物であり、昌黎郡の出身です。

生涯

313年、鮮卑慕容部の大人であった慕容廆によって、宋該・皇甫岌・皇甫真・繆愷・封奕・封裕らと共に、政権の枢要を主管する役職に任じられました。これは、劉斌が初期の前燕政権において、重要な役割を担っていたことを示しています。

その後、長史に任じられ、政務を補佐しました。336年9月には、郎中令の陽景と共に、東晋の使者である王斉・徐孟らを建康まで送り届けるという外交的な任務も担いました。このことから、劉斌は単なる内政官僚としてだけでなく、外交官としての能力も評価されていたと考えられます。

後に内史に任じられ、地方行政を司りました。350年2月、燕王慕容儁が後趙への侵攻を開始した際、世子の慕容曄を龍城に留め、劉斌は大司農に任じられ、典書令の皇甫真と共に留守を託されました。大司農は、国の財政を管理する重要な役職であり、慕容儁が劉斌を信頼していたことが窺えます。龍城は前燕の首都であり、その留守を任されたことは、劉斌が慕容儁から絶大な信頼を得ていた証と言えるでしょう。

しかし、これ以後の劉斌の事績は、史書には記されていません。そのため、彼の晩年や没年については不明な点が多く残されています。前燕の成立と発展に貢献した劉斌ですが、その後の消息が不明であることは、歴史の謎として人々の関心を惹きつけています。

参考文献

『晋書』巻109
『資治通鑑』巻88、巻95、巻98
* 『十六国春秋』巻24、巻26

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