劉聚

劉聚（りゅう しゅう）

劉聚は、明代中期に活躍した軍人です。生年は不明ですが、1474年に亡くなりました。彼は、太監（宦官）の劉永誠の甥にあたり、その関係から早くから軍の世界に入りました。

初期のキャリア

1425年、劉聚は都督僉事に任命され、軍人としてのキャリアをスタートさせます。1434年には、南京と湖広の間での物資輸送を監督する要職を担いました。1441年には、定西伯蔣貴の指揮下で右副総兵として、麓川の思任発の反乱鎮圧に参加し、武功をあげました。翌年には左都督に昇進しています。1448年には、鄧茂七の反乱軍を建陽で破るなど、各地の反乱鎮圧で手腕を発揮しました。1449年には右都督となりますが、罪に問われて一時免官されます。しかし、すぐに中軍署都督僉事に復帰し、その軍事的な才能を再び発揮しました。

奪門の変とその後

1457年、劉聚は奪門の変（正統帝が復位した政変）で功績を挙げ、金吾指揮同知から都指揮僉事に昇進、さらに都督同知に抜擢されました。1461年には、曹欽が反乱を起こすと、兵を率いてこれを討伐し、右都督に進みました。1466年には副総兵に任命され、軍の中核として活躍します。

モンゴルとの戦い

1470年、劉聚は右副総兵として、朱永に従い、延綏（えんすい）に赴き、モンゴル軍を黄草梁（こうそうりょう）で追撃しました。しかし、伏兵に遭遇し激戦となり、下顎に傷を負うも、部下の奮闘により九死に一生を得ました。その後、都督の范瑾らと共に青草溝（せいそうこう）でモンゴル軍を撃破し、朱永らが牛家寨に追撃する中、劉聚は南山に拠って奮戦し、モンゴル軍を明の領土から駆逐しました。その功績により、12月には左都督に進んでいます。1471年3月には、寧晋伯に封じられました。

1472年11月、劉聚は趙輔に代わって平虜将軍となり、陝西（せんせい）の諸鎮の兵を統率して延綏に駐屯しました。1473年1月、モンゴル軍が花馬池に侵入すると、劉聚は副総兵の孫鉞（そんえつ）や遊撃将軍の王璽（おうじ）らを率いてこれを迎え撃ち、高家堡まで軍を返したところ、モンゴル軍が再び侵攻してきたため、これを破りました。漫天嶺まで追撃し、伏兵による挟撃に遭うも、これを撃破しました。孫鉞や王璽も別の敵を井油山で破り、戦果を上げました。同年6月、劉聚は固原（こげん）での駐屯を命じられ、世襲可能な爵位を与えられました。

戦功詐称疑惑と晩年

その冬、北元のバヤン・モンケ・ボルフ晋王およびマンドゥールン・ハーン、ベグ・アルスランらが率いるモンゴル軍が、明の領土に深く侵入し、秦州、安定、会寧などの諸州県を蹂躙しました。モンゴル軍が撤退し、王越（おうえつ）が紅塩池から帰還した時点で、劉聚は独断で大勝利を報告しました。これにより、成化帝（せいかてい）から賞賛を受けましたが、後に兵部員外郎の張謹（ちょうきん）によって、劉聚と総兵官范瑾ら6将が戦功を偽ったとして弾劾されました。成化帝の命により給事中の韓文（かんぶん）が調査したところ、首級150の功績と報告されていたものが、実際には首級19の功績であることが判明しました。しかし、成化帝はモンゴル軍が既に撤退していたため、この件を不問にしました。

1474年4月、劉聚は死去しました。その死後、寧晋侯の位を追贈され、諡号は「威勇」とされました。同年の閏6月には、息子の劉禄（りゅうろく）が寧晋伯の爵位を継ぎ、翌年6月には、劉禄の弟である劉福（りゅうふく）が爵位を継ぎました。

劉聚は、数々の戦で武功を立てた将軍であり、その一方で戦功詐称疑惑も持ち上がるなど、波乱に満ちた生涯を送った人物でした。

参考文献

* 『明史』巻155 列伝第43

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