加賀義二

日本のテレビプロデューサー、加賀義二氏は1940年 2月に東京都世田谷区で誕生しました。慶應義塾高等学校から慶應義塾大学経済学部へと進み、卒業後はテレビ業界でその才能を発揮しました。

加賀氏は、文化・芸能・政界に連なる著名な家系の出身です。父である加賀二郎氏は、元週刊ダイヤモンド記者を経て、松竹株式会社の常務や歌舞伎座の専務、そして歌舞伎座映画プロデューサーを務めた人物です。祖父の加賀卯之吉氏は元衆議院議員。伯父の加賀一郎氏は陸上競技選手として、アントワープオリンピックの100メートル、200メートル競走で日本代表を務めました。また、叔父の加賀四郎氏も大映のプロデューサーとして活躍しており、その娘で女優の加賀まりこ氏は従妹にあたります。このように、加賀氏自身も芸能界とゆかりの深い環境で育ちました。残念ながら、姉は1945年の終戦直後に19歳で夭逝しています。

若い頃から、加賀氏は映画に深い関心を持っていました。高校生時代には年間100本以上の映画を鑑賞し、特にジーン・ネグレスコ監督の『愛の泉』や、野村芳太郎監督の『花嫁はどこにいる』といった作品、あるいはミュージカル映画を好んでいました。大学に進学後、将来は映画監督を目指したいと考えるようになります。しかし、映画製作で苦い経験を持つ父からは反対されました。

それでも映画・テレビへの情熱を諦められなかった加賀氏は、伯父（一郎氏）の長男が勤務していた縁から、大学在学中に日本テレビでアルバイトを始めます。「嫌な感じの人がいなかったこと、そして民放局の中で最も安定していたこと」を理由に、日本テレビ一本に絞って入社試験を受け、1962年に入社を果たしました。

入社後は希望通り芸能局に配属されます。元々落語が好きだったことから、加賀氏は立川談志、五代目三遊亭圓楽、桂歌丸といった著名な落語家たちとの交流を深めました。特に談志氏からは相談を受け、『笑点』の前身番組として知られる『金曜夜席』の企画立案や立ち上げに深く関与しました。

映画やドラマへの志望が強かったため、局次長の声がけにより1964年からドラマ制作に携わることになります。同年、プロデューサーの小坂敬氏のもとで経験を積み、テレビドラマ『風来坊先生』の制作に参加しました。1966年には大映テレビ室の担当となり、同年のテレビドラマ『母の曲』で初めてプロデューサーを務めました。

しかし、1971年にプロデュースしたドラマ『ひかりの中の海』が打ち切りとなるなど、一時的に苦境に立たされた時期もありました。この『ひかりの中の海』や『君は海を見たか』で組んでいた脚本家である倉本聰氏の支援を受け、倉本氏が脚本を手がけた火曜日の女シリーズ『ガラス細工の家』（1973年放送）でプロデューサーとして復帰を果たします。同作は、その年にギャラクシー賞を受賞するなど高く評価されました。

その後も、プロデューサーとして精力的に活動を続けました。『俺たちは天使だ!』、『警視-K』といった現代劇から、『桃太郎侍』、『唖侍鬼一法眼』などの時代劇まで、幅広いジャンルの人気作品を手がけています。特に『警視-K』では、以前に映画『男一匹ガキ大将』やテレビドラマ『唖侍鬼一法眼』で勝プロダクションおよび勝新太郎氏と仕事をした経験から信頼を得て、プロデューサーに起用されました。勝氏との関係は、加賀氏が手がけた他の作品にも出演していた、勝氏の子分的存在の俳優・酒井修氏とのつながりも影響していたと言われます。また、1981年に放送が始まった人気シリーズ『火曜サスペンス劇場』にも関与しました。

加賀氏は、プロデューサーとして現場を指揮するだけでなく、日本テレビの経営・管理部門においても重要な役割を歴任しました。1982年に編成局へ異動した後、1987年、1988年には編成局編成部企画統括主任を務めました。さらに、1991年 5月には社会情報局管理部長、1992年 5月には広報局番組事業宣伝部長、1993年 5月には制作局次長、そして1994年 5月には事業局次長と24時間テレビ事業局長を兼任するなど、多岐にわたる要職を歴任しました。

定年退職後も、映画制作会社トワーニでの経験を経て、フリーランスの立場で活動を続けています。日本テレビでの長年にわたるキャリアを通じ、バラエティからドラマ、時代劇、サスペンス、そして映画に至るまで、数多くの人気番組や作品の誕生に貢献し、日本のテレビ史に確かな足跡を残した人物と言えるでしょう。この他にも、『北上川哀歌』、『颱風とざくろ』、『めぐり逢い』、『だから大好き!』、『小さな恋のものがたり』、『鞍馬天狗』、『愛のサスペンス劇場』、『歯止め』、『愛が見えますか…』、『愛が試される時』、『幻之介世直し帖』、『取調室』、『鏡の微笑』、映画『転校生』、『天使の牙B.T.A.』、『キューティーハニー』など、多数の作品に携わっています。

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