労働安全衛生法による免許証

労働安全衛生法による免許証について

労働安全衛生法による免許証は、労働安全衛生法第8章に規定された各種の免許を有することを証明する公的文書です。この免許証は、危険または有害な作業に従事する労働者にとって必須であり、事業主は、これらの業務に労働者を従事させる際に、適切な資格を持つ労働者を選任する必要があります。

免許証の発行

免許証は、所定の資格を持つ者の申請に基づき、都道府県労働局長（一部は東京労働局長）によって発行されます。免許試験合格者や技能講習修了者など、資格の種類によって発行主体が異なります。免許証は、申請後、遅滞なく交付されることが求められます。

免許証の記載事項

現行の免許証には、以下の情報が記載されています。

表面

最上部：「労働安全衛生法による免許証」という標題
左側：免許所持者の写真
中央から右：
免許証番号（下1桁は発行回数）
氏名（フリガナ、漢字など）
生年月日（元号表記）
交付年月日（元号表記）
交付局（〇〇労働局長）
都道府県労働局長の公印
下部：免許の有無と種類（縦書き）

2017年3月31日までに交付された免許証には本籍地、2021年3月31日までは性別欄がありました。

裏面

住所（郵便番号、都道府県から詳細な住所まで）
取得した免許の種類と取得年月日（元号表記、最大3つまで）
4つ以上の免許を持つ場合は、古いものから3つが記載されます。4番目以降の免許の取得日は別途控えておく必要があります。
上位免許取得時に実務経験が必要となるボイラー技士は、現免許日が判るよう優先的に記載されます。
上位免許を取得した場合、下位免許の情報は記載対象から除外されます。
特別ボイラー溶接士免許または普通ボイラー溶接士免許の有効年月日（元号表記）
備考欄
旧姓や通名の併記がある場合はその旨が記載されます。（2021年4月1日以降発行分から）
免許に条件がある場合は、その内容が記載されます。

免許の種類

免許の種類は多岐にわたり、厚生労働大臣指定試験機関が実施する試験に合格することで取得できるものが多いですが、試験以外で取得できるものもあります。受験には、学歴や実務経験などの条件が設けられているものと、誰でも受験できるものがあります。学科試験のみで取得できるもの、学科試験と実務経験が必要なもの、学科試験と実技試験が必要なものなど、取得要件は様々です。

現行免許

労働安全衛生規則別表第4に記載されている順に、主な免許を以下に示します。

第一種衛生管理者（●）
第二種衛生管理者（●）
衛生工学衛生管理者（※）
高圧室内作業主任者（◯）
ガス溶接作業主任者（◯）（●）
林業架線作業主任者（◯）（●）
特級ボイラー技士
一級ボイラー技士
二級ボイラー技士（◯）（△）（●）
エックス線作業主任者（◎）（●）
ガンマ線透過写真撮影作業主任者（◎）（●）
特定第一種圧力容器取扱作業主任者（※）
発破技士（◯）（△）（●）
揚貨装置運転士（◎）（技）（●）
特別ボイラー溶接士（技）
普通ボイラー溶接士（技）
ボイラー整備士（◯）
クレーン・デリック運転士（◎）（技）（●）
限定なし
クレーン限定
床上運転式クレーン限定
移動式クレーン運転士（◎）（技）（●）
潜水士（◎）

記号の意味：
◎：受験資格、免許交付資格に制限なし
◯：受験資格に制限なし、免許交付資格に制限あり
△：免許交付資格に制限はあるが講習で取得可能
※：試験以外で取得
技：学科試験合格に加え実技試験合格が必要
●：一定の要件を満たす場合、無試験で取得可能

旧免許

過去には存在したが、制度改正により現在は新規に取得できない免許もあります。しかし、これらの旧免許は現在でも有効であり、再発行も可能です。

旧免許の例：

導火線発破技士
電気発破技士

これらの旧免許は、制度改正に伴い、後継の現行免許に置き換えられました。旧免許を持っている場合は、旧免許の名称のままですが、権限は現行免許と同等となります。

免許証の表記順

免許証には、労働安全衛生規則様式第11号に基づいた略称が用いられます。免許の有無は、略称の上欄に「1」（取得済）または「0」（未取得）で表示されます。ただし、上位免許を取得した場合は、下位免許は「0」となります。免許証の数字表記は、免許証番号、生年月日、交付年月日、有無欄では算用数字、免許の名称部分は漢数字が用いられます。

免許証の主な略称：

クレ・デリ：クレーン・デリック運転士
移クレーン：移動式クレーン運転士
揚貨装置：揚貨装置運転士
特ボイラー：特級ボイラー技士
一ボイラー：一級ボイラー技士
二ボイラー：二級ボイラー技士
ガス溶接：ガス溶接作業主任者
一衛生管理：第一種衛生管理者
* 二衛生管理：第二種衛生管理者

免許の特例

一部の免許には、身体や精神の機能障害がある者に対して、作業範囲や条件を限定して交付される場合があります。この場合、免許証の有無欄には「9」が表示され、備考欄に条件が記載されます。

また、特定第一種圧力容器取扱作業主任者免許は、特定の資格を持つ者のみが取得できるため、取得根拠によって「1」または「2」が表示されます。

まとめ

労働安全衛生法による免許証は、労働者の安全と健康を確保する上で不可欠なものです。免許の種類、取得条件、記載内容を正しく理解し、適切な作業を行うことが求められます。

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