北原兼正

北原兼正（きたはら かねまさ）は、戦国時代に活躍した武将です。北原氏の家臣であり、横川の地頭職と横川城主を務めていました。北原氏の一族であるかは定かではありません。

永禄2年（1559年）、北原氏の家督と領地が伊東義祐によって事実上簒奪されるという事件が起こります。これに対し、3年後の永禄5年（1562年）、北原氏の旧臣である白坂下総介が、北原家再興を画策し、守護である島津貴久に協力を求めました。この動きには、北郷時久や相良義陽も賛同し、北原兼親を当主として北原家は再興されることになります。飯野側の北原旧臣である白坂兼頼（後の白坂昌棟）や大河平隆利らは、こぞって兼親に従いました。

しかし、北原兼正は、この北原家再興の動きに加わろうとはしませんでした。島津貴久は、再三にわたり兼正を説得しましたが、兼正は頑として首を縦に振ることはありませんでした。そのため、貴久は自らの三男である島津歳久を大将に任命し、横川城を攻撃させることになります。

進退窮まった兼正は、嫡子である新助と共に自害し、横川城は落城しました。一方、次男の又八郎は落ち延び、伊東家の家臣となったと伝えられています。その後、元亀3年（1572年）の木崎原の戦いには、伊東方として出陣し、戦死しています。

北原兼正は、主家再興の動きに抵抗し、自らの信念を貫き通した武将でした。その最期は、戦国時代の武将の悲哀を物語るものと言えるでしょう。

参考文献
『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
『島津中興記』（青潮社、1979年8月）
『都城市史』 都城市史編さん委員会
『日向記』 （宮崎県史　叢書）

もう一度検索