白坂下総介

白坂下総介（しらさか しもうさのすけ）

白坂下総介は、戦国時代の武将であり、北原氏に仕えた人物です。実名は不明とされています。

生涯

白坂下総介は、白坂下総守兼次の子として生まれました。父・兼次は高原・高崎の地頭であり、志和地城の城主でもありましたが、天文11年（1542年）に北郷氏との戦いで戦死し、志和地城も奪われました。下総介は父の死後、志和地から高崎に移り住んだと考えられています。

永禄元年（1558年）、主君である北原氏13代当主・北原兼守が急死し、さらに兼守の娘も亡くなったことで、北原家では家督を巡る争いが起こりました。この混乱に乗じて、兼守の正室・麻生の実父である伊東義祐が介入し、北原氏の血筋ではない馬関田右衛門佐を麻生に娶せ、北原氏を乗っ取ろうとしました。下総介らはこれに反対しましたが、永禄2年（1559年）3月17日、伊東義祐は反対派を都於郡城に呼び出して詰問し、その帰路で待ち伏せしていた兵に襲わせ、北原三河守ら11人を殺害しました。下総介は辛うじて逃げ延び、島津氏の家臣・樺山善久のもとに身を寄せました。これにより、北原家の家督は馬関田右衛門佐が継ぎ、北原家は事実上伊東氏に乗っ取られることとなりました。

しかし、下総介は北原家再興を諦めず、樺山善久を通して薩摩・大隅・日向の守護である島津貴久に協力を依頼しました。貴久はこれに応じ、北郷時久や相良義陽にも協力を呼びかけ、永禄5年（1562年）に島津氏・北郷氏・相良氏の連合軍は伊東氏を真幸院から追い出し、北原氏の旧領を奪還しました。そして、北原家の家督は北原兼親が継ぎ、飯野城に入城しました。下総介も高原城に入り、伊東氏を牽制しました。

ところが、翌永禄6年（1563年）には相良氏が伊東氏と手を結び、共に飯野の大明神城を落城させます。さらに翌永禄7年（1564年）5月には、伊東勢によって北原氏に従属していた大河平氏の今城が陥落するなど、北原氏の勢力は再び衰退しました。下総介はこれ以上の戦いを恐れ、北原氏を出奔しました。その後、『本藩人物誌』には「出奔して守護方に参じ、樺山善久に頼った」と記されており、樺山善久に仕えたものと思われますが、その後の消息は不明です。

脚注

出典
『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
『えびの市史　上巻』（えびの市郷土史編さん委員会編）
* 『諸県の伝説』（都城史談会）

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