北原兼親

北原兼親（きたはら かねちか）

北原兼親は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、北原氏の14代目当主にあたります。島津氏の家臣として、激動の時代を生き抜きました。

出自

北原氏は、日向国真幸院を本拠とする一族です。兼親の祖父である北原茂兼は、家督争いに巻き込まれて球磨の相良氏のもとへ逃れました。そこで、相良氏の庶流である相良頼泰の娘を娶り、兼親の父である兼泰が誕生しました。しかし、相良頼泰は謀反の罪で相良氏によって粛清されます。この時、茂兼や兼泰にまで累が及んだかは定かではありませんが、兼親の代になるまでに北原家は家臣として復帰しています。

生涯

北原兼親は、北原兼泰の子として生まれました。永禄元年（1558年）、13代当主であった北原兼守が病死すると、その後継を巡る争いに伊東義祐が介入し、北原氏の領地は伊東氏に奪われてしまいます。兼親は身の危険を感じ、祖母の実家である相良氏を頼って球磨へ落ち延びました。

永禄5年（1562年）、北原氏の旧臣である白坂下総介が、守護である島津貴久に兼親を当主として北原氏を再興したいと願い出ます。島津貴久はこれを受け入れ、北郷時久や相良義陽と共に北原領を奪還するための兵を挙げます。この戦いで伊東氏を北原旧領から追い出すことに成功し、兼親は北原氏の本拠地である飯野城に入城を果たしました。

しかし、翌年の永禄6年（1563年）、相良氏が突如として裏切り、伊東氏に味方して飯野の大明神城を落城させます。さらに、兼親は些細なことから家臣の大河平隆次と仲違いし、島津義弘に「飯野城と今城（大河平氏の居城）は近いので、今城への援軍は撤退させた方が良い」と進言します。その結果、今城に入っていた島津氏からの援軍300名が撤退し、手薄になった今城は伊東氏に攻められ、城兵は全滅しました。これにより、踊城主の白坂佐渡介や高原城主の白坂下総介らが、北原家から相次いで出奔します。

北原氏の領地維持は困難と判断した島津貴久は、永禄7年（1564年）11月、兼親に薩摩の伊集院神殿村に30町の領地を与えて移住させました。この時から、兼親は島津氏の家臣となりました。

天正4年（1576年）、島津氏が伊東氏の領地となっていた高原城を攻めた際、兼親は島津家臣として出陣しましたが、その後の消息は不明です。兼親には男子がいなかったため、比志島義基の次男である兼茂を養子として迎え、北原家の名跡を継がせました。

脚注

『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
『えびの市史　上巻』（えびの市郷土史編さん委員会編）
『「さつま」歴史人名集』 稲葉行雄著　高城書房　ISBN 4-924752-28-2
『物語り大河平史』（橋口義昌／編）

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