北条義政

北条義政：鎌倉幕府を支えた教養人

北条義政（ほうじょう よしまさ）は、鎌倉時代中期に活躍した北条氏の一門の武将です。父は連署を務めた北条重時で、母は側室の少納言局です。義政は、信濃国塩田荘を所領としており、彼から孫の世代まで「塩田北条氏」と呼ばれています。

生涯

幼名は多聞（たもん）。初めは時景（ときかげ）と名乗りましたが、後に義政と改名しました。北条重時の五男ですが、母の身分により異母兄の業時よりも上位に位置づけられました。

義政は、鎌倉幕府第6代将軍宗尊親王に仕え、文永2年（1265年）に引付衆、文永4年（1267年）に評定衆、文永6年（1269年）には二番引付頭へと順調に昇進し、幕府の要職を歴任しました。

文永10年（1273年）には、叔父の北条政村の死去に伴い連署に就任し、執権北条時宗を補佐しました。しかし、建治元年（1275年）に元の使者処刑に反対したことが記録されています。病のため出家を望んでいたとも伝えられ、花押の有無からも文永の役以降、連署としての政務を十分に務めていなかったことが窺えます。

建治3年（1277年）4月、義政は突然連署を辞任し、善光寺に出奔した後に出家しました。法名は政義（せいぎ）といい、翌5月には信濃国塩田荘に隠棲しました。弘安4年11月27日（1282年1月8日）に、同地で41歳で亡くなりました。塩田には、義政が創建したと伝えられる安楽寺八角三重塔が残っています。

人物像と逸話

義政は教養人としても知られ、『新後撰和歌集』『玉葉和歌集』『続千載和歌集』などに多くの歌を残しています。

義政の遁世については、病気説、塩田荘の地盤固め説などがありますが、歴史学者の網野善彦は、義政の同母姉妹が安達泰盛の妻であることに注目し、泰盛と平頼綱の対立が義政の立場を微妙なものにしたと推測しています。また、義政の遁世後には本家筋にあたる北条義宗が評定衆に加わっていることから、本家筋への配慮があったとする説や、時宗による政治的排除説も存在します。

居住地は名越であり、重時流の中で特異な一面を持っていました。彼が管轄した塩田荘には、多くの寺社が建立され、鎌倉文化を伝える貴重な文化財が今も残っています。

経歴

1259年（正元元）4月17日、従五位下に叙し、左近衛将監任官
1265年（文永2）6月11日、幕府の引付衆に就任
1267年（文永4）11月、評定衆に異動
1269年（文永6）4月、二番引付頭を兼帯
1270年（文永7）5月20日、駿河守に転任
1273年（文永10）6月17日、連署に就任、7月1日、武蔵守に転任
1277年（建治3）4月4日、出家。道義と号す。5月22日、逐電

和歌

いつまでとこころをとめてありはてぬ 命まつまの月を見るらん（続古今和歌集 雑1587）
夢ならでまたはまこともなきものを たが名づけけるうつつなるらん（玉葉集 雑上2462）

関連事項

塩田流北条氏
* 塩田城

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