十八家晋史

十八家晋史とは

「十八家晋史」とは、晋の歴史を記すために成立した数々の文献の総称であり、主に18の異なる歴史書から構成されています。これらの書物は、唐代の貞観年間に正式な歴史書『晋書』が編纂される以前に作成され、広く流通していました。しかし、正史が完成した後、これらの文献は次第に失われていき、特に南宋の時代になるとそのほとんどが姿を消してしまったと考えられています。

現存する資料

現在、この「十八家晋史」は完全な形では残っていませんが、いくつかの他の文献からの引用を通じて部分的に知ることができます。具体的には、劉孝標の『世説新語』の注釈や裴松之の『三国志』の解説、李善の『文選』の解説、さらには『太平御覧』などでその一端を見ることができます。その中でも、臧栄緒と王隠による『晋書』の記述がほかの記録と比べて比較的多く残されていることが特徴です。

各書の特徴

「十八家晋史」の各書は、晋代の特定の王朝や西晋に焦点を当てたものが多く、記述の仕方や完成度もまちまちです。特に、臧栄緒の『晋書』は高い完成度を誇り、晋の初代皇帝である宣帝から劉裕による晋の滅亡までの歴史を網羅しています。この書は「紀」「録」「誌」「伝」の四つのカテゴリに分かれており、全体で110巻におよぶとされ、その内容は後の正史『晋書』に大いに影響を与えたと考えられています。

湯球による再現

清代の湯球は「十八家晋史」の再現を試み、その成果は中華書局の『叢書集成初編』で活字本として収録されました。この再現の取り組みは、失われた歴史の一端を知る上で貴重な資料となっています。

九家晋書と九家晋紀

「十八家晋史」は二つの主要カテゴリから成り立っていますが、その一つ、九家晋書には以下のような著者と書名があります。

• - 虞預 『晋書』（晋）
• - 朱鳳 『晋書』（晋）
• - 王隠 『晋書』（晋）
• - 謝霊運 『晋書』（宋）
• - 何法盛 『晋中興書』（宋）
• - 臧栄緒 『晋書』（斉）
• - 蕭子雲 『晋書』（梁）
• - 蕭子顕 『晋書草』（梁）
• - 沈約 『晋書』（梁）

次に、九家晋紀に分類される書物も存在し、こちらには陸機や干宝、曹嘉之などが著した作品が含まれています。

その他の歴史書

さらに、唐代以前には「十八家晋史」以外にも多くの晋関連の歴史書が存在していたことが、他の資料から確認できると言われています。それらの中には、陸機の『晋恵帝起居注』や習鑿歯の『漢晋春秋』などがあり、これらも晋代の歴史理解に寄与しています。特に東晋時代に書かれた崔鴻の『十六国春秋』や、蕭方等の『三十国春秋』も、晋の歴史を語る上で重要な資料です。

「十八家晋史」はこうした様々な歴史書と共に、古代中国の歴史を理解するための重要な基盤を提供しています。

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