千葉実胤

千葉実胤（ちば さねたね）：激動の時代を生きた武将

千葉実胤は、室町時代中期に活躍した武将で、武蔵千葉氏の二代目当主です。父は初代当主の千葉胤賢であり、実胤は激動の時代の中でその生涯を送りました。

享徳の乱と千葉氏の受難

康正元年（1455年）に勃発した享徳の乱は、関東地方を二分する大乱でした。この戦乱で、上杉氏と古河公方足利成氏が対立し、千葉氏は上杉氏に味方しました。しかし、成氏方の重臣である原胤房と同族の馬加康胤の急襲を受け、千葉城を追われることになります。実胤は父の胤賢や弟の自胤とともに難を逃れましたが、伯父の千葉胤直と従兄の胤宣は、原胤房らに攻められ自刃するという悲劇に見舞われました。実胤らの父である胤賢も小堤城で自刃し、混乱の中、実胤らは八幡荘市河城へと逃れました。

敗北と逃避

室町幕府の8代将軍足利義政が派遣した同族の東常縁の支援を受けますが、成氏方の簗田持助に敗れ、康正2年（1456年）には市河城も陥落してしまいます。実胤らは武蔵へと逃れ、常縁は下総匝瑳郡へと落ち延びました。この間、千葉氏は大きな痛手を被り、勢力を大きく失いました。

馬加氏の滅亡と千葉氏の帰還

体制を立て直した東常縁は、馬加城を攻め落とし、馬加康胤の子である胤持を討ち取り、さらに逃れた康胤と原胤房を追放し、馬加氏を滅ぼしました。さらに、実胤らの外戚である扇谷上杉家の家宰太田道灌が江戸城を築城するなど、古河公方側への圧力を強めていきます。しかし、分家の岩橋輔胤らが本佐倉城を築城するなど反抗を続け、実胤らの下総への帰還は叶いませんでした。

隠遁と失脚説

実胤は寛正3年（1462年）に隠遁したと伝えられています。病弱であったという説のほか、近年では、堀越公方足利政知の側近渋川義鏡による讒言によって失脚したという説も出ています。この讒言は、三浦時高や大森氏頼・実頼父子も巻き込んだとされています。実胤の隠遁は、千葉氏の勢力回復をさらに困難にする要因となりました。

弟・自胤の継承と千葉氏の没落

実胤の跡は弟の自胤が継ぎましたが、東常縁が応仁の乱で所領を横領されたため帰京。岩橋輔胤の子である千葉孝胤が下総千葉氏の当主となり、自胤の勢力は回復しませんでした。文明14年（1483年）に成氏と上杉氏が和睦し、千葉氏の支配は孝胤の下で確定し、自胤の帰還は実現せず、子孫は武蔵の国人に転落しました。千葉氏の衰退は、実胤の時代に始まった混乱が尾を引いた結果と言えるでしょう。

まとめ

千葉実胤は、享徳の乱という激動の時代に翻弄され、不遇の生涯を送りました。彼の時代に千葉氏は大きく勢力を失い、その後の歴史にも大きな影響を与えました。実胤の人生は、戦国時代の幕開けを告げる混乱と、その中で生き抜いた武将の姿を象徴しています。

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