八条院領

八条院領とは

八条院領とは、中世の荘園公領制において、王家が所有した荘園群の一つです。その起源は、鳥羽殿東殿の仏堂であった安楽寿院を基盤とし、鳥羽院領と美福門院領を相続した八条院暲子内親王の所領に遡ります。八条院領は、安楽寿院領48箇所に加え、八条院庁領79箇所、歓喜光院領26箇所、蓮華心院領15箇所、真如院領10箇所、弘誓寺領8箇所、智恵光院領5箇所、禅林寺今熊野社領3箇所など、合計220箇所を超える広大な所領でした。

八条院は、二条天皇の准母、そして異母弟である以仁王の猶母となり、彼らの経済的な後ろ盾となりました。しかし、両者とも八条院よりも先に亡くなったため、八条院領の正式な継承者とはなりませんでした。

その後、八条院領は春華門院昇子内親王、順徳天皇、後高倉院、安嘉門院、亀山院、後宇多院、昭慶門院憙子内親王を経て、最終的に後醍醐天皇へと受け継がれ、大覚寺統の主要な経済基盤となりました。

戦乱と八条院領

治承・寿永の乱

治承4年（1180年）、八条院の猶子であった以仁王が平氏に対して兵を挙げた際、その令旨が八条院領の荘園にも伝えられました。この挙兵には、美福門院から八条院に仕えていた源頼政一族、八条院蔵人の源行家・源仲家、そして八条院領荘園の在地領主であった足利義清・下河辺行義などの武士が関与していました。

元弘の乱

元弘元年（1331年）の元弘の乱では、後醍醐天皇の綸旨が八条院領の荘園に伝えられ、その中の足利荘における足利高氏の挙兵のきっかけの一つになったとされています。

南北朝時代

南北朝時代に入ると、足利尊氏が京都に持明院統（北朝）を擁立し、後醍醐天皇が吉野に南朝を開いたことで、全国的に足利・北朝方が優勢となりました。持明院統の所領である長講堂領は維持された一方で、八条院領は解体へと向かいました。南北朝合一の際の明徳の和約においても、長講堂領は持明院統の所領として確認されましたが、大覚寺統には国衙領があてがわれることとなり、八条院領は回復することはありませんでした。

主な所領

八条院領には、以下の荘園が含まれていました。

下河辺荘
足利荘
矢野荘
千葉荘
四宮荘

関連項目

大覚寺統
長講堂領
八条良輔
* 仁和寺

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