南宋の六陵

南宋六陵：皇帝たちの眠る地、その栄光と破壊の歴史

南宋六陵は、中国浙江省紹興市越城区富盛鎮の霧連山南麓に位置する、南宋時代の皇帝や皇后などが埋葬された陵墓群です。高宗から度宗までの6代の皇帝が葬られていることからこの名で呼ばれていますが、実際には北宋の徽宗も含まれており、宋朝の7代の皇帝らの陵が築かれました。

六陵の成立と特徴

物語は紹興元年（1131年）に遡ります。元祐太后孟氏が崩御した際、高宗は彼女の遺言に従い、孟太后の棺を紹興の上皇村に一時的に埋葬し、「攢宮」と名付けました。その後、紹興11年（1141年）に金との和平が成立し、北方で亡くなった徽宗の遺骸と高宗の生母である韋太后が南宋に帰還しました。徽宗の棺は孟太后の陵の近くに改葬され、韋太后も紹興29年（1159年）に崩御した後、徽宗と共に埋葬されました。これ以降、度宗に至るまでの歴代南宋皇帝は皆ここに葬られることになります。

南宋帝陵の特徴である「攢宮」は、一時的な埋葬という性格が強く、おおむね北宋時代の陵園制度を踏襲しながらも、さらに簡素化されました。棺が安置された場所には、墳丘を築く代わりに献殿と回廊が建てられ、外観上は宮殿のような形をしていたと伝えられています。これは、いつか中原を回復し、陵墓を河南府鞏県にある北宋の皇陵に移葬したいという願いの表れでした。

破壊と再建、そして現在

しかし、南宋の願いは叶わず、六陵は南宋滅亡後の至元22年（1285年）、江南釈教総統の楊璉真珈によって盗掘される過程で徹底的に破壊され、副葬品も散逸してしまいました。その後、洪武年間になって、明の洪武帝によって陵園は修復され、墓碑が再建されました。孝宗の永阜陵と理宗の永穆陵の跡には享殿（祠堂）が建てられましたが、1960年代になると陵園は茶畑として開墾され、全ての建築物と墓碑の跡が消え去ってしまったのです。

しかし、歴史の証は完全に失われたわけではありません。1987年7月、南宋帝陵の遺址は県級文物保護単位に指定され、1989年には省級文物保護単位に格上げされました。陵の標識として老松が保全され、2013年3月には全国重点文物保護単位に指定されています。かつての壮麗な陵園の面影は失われてしまいましたが、皇帝たちの眠る地は、今も静かに歴史を語りかけているのです。

六陵に眠る皇帝たち

永思陵（高宗、憲節皇后、憲聖慈烈皇后）：北緯29度56分10.16秒 東経120度41分46.82秒
永阜陵（孝宗、成粛皇后）：北緯29度56分11.39秒 東経120度41分50.92秒
永崇陵（光宗）：北緯29度56分7.81秒 東経120度41分55.82秒
永茂陵（寧宗、恭聖仁烈皇后）：北緯29度56分12.43秒 東経120度41分53.11秒
永穆陵（理宗）：北緯29度56分39.76秒 東経120度41分53.85秒
永紹陵（度宗）：北緯29度56分30.78秒 東経120度41分40.14秒

参考文献

常盤大定・関野貞『支那文化史蹟』第4卷、法蔵館、1939年
来村多加史『南宋攢宮考』史泉（関西大学）第70号、1989年
秦大樹『宋元明考古』20世紀中国文物考古発現與研究叢書、文物出版社、2004年

関連項目

唐の十八陵
明の十三陵
清の陵墓群

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