南極収束線

南極収束線について

南極収束線（なんきょくしゅうそくせん）または南極収斂線とは、南極周辺で見られる特有の潮境を指し、主に冷たい南極の海水と暖かい亜南極の海水が交わる場所です。この収束線は、南極前線とも呼ばれ、実際には南極を一周する形で存在しています。

概要

南極収束線は、南極の非常に冷たい海水が北に向かう偏西風によって別の領域の暖かい海水と混ざる地点です。この交わる場所では水温が2℃から3℃変化し、塩分濃度にも顕著な差が見られます。これは単なる人工的な境界線ではなく、自然界における重要なゾーンとされ、Arctic tree lineのような存在です。小さな生態系や気候区画を分ける役割も果たします。

南極収束線の幅は約32キロメートルから48キロメートルで、大西洋、太平洋、インド洋にまたがる南緯48度から61度の範囲に位置しています。位置は季節や経度によって変動しますが、通常は30分以上のズレは生じません。この収束線の南側で海水は主に亜南極水の下に沈む一方で、混合と湧昇が同時に行われるため、生物生産性が高い地点として知られています。

南極収束線よりも北の海域は「極前線域」と称され、その北側の境界は亜南極前線と呼ばれます。これら両方の前線は南極環流の一部であり、東向きの強力な海流が形成されています。

歴史

南極収束線を初めて横断したのは1675年の探検家Anthony de la Rochéであり、南極収束線に関する最初の記録は1700年にエドモンド・ハレーによるものとされています。この境界は動的で、1980年には南極の海洋生物資源に関する委員会（CCAMLR）において一度定義されたことがあります。北極地方は陸地に囲まれているため、南極収束線に相当するものは存在しません。

周辺の島々

南極収束線の周辺には、いくつかの主要な島々があります。サウス・シェトランド諸島、サウス・オークニー諸島、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、ブーベ島、ハード島、マクドナルド諸島などは全て収束線より南側に位置しています。また、ケルゲレン諸島は収束線のおおよそ上にあり、対照的にフォークランド諸島、プリンスエドワード諸島、クローゼー諸島、アムステルダム島、サンポール島、フエゴ島、マッコーリー島などは南極収束線の北側にあります。

関連項目

南極収束線の理解は、南極海や南極大陸について知る上で重要です。また、地球上の他の極域についても関連性が深いです。

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