南薩火山群

南薩火山群

南薩火山群は、九州の薩摩半島南部に位置する火山群の総称です。この地域は、大きく分けて西部の古い火山群と、東部の指宿火山群に分類されます。

西部

南さつま市から枕崎市にかけての地域には、約500万年前に活動した比較的古い火山群が広がっています。これらの火山は、非火山性の山地である揖宿山地と複雑に入り組んでおり、その地質学的特徴を形成しています。この地域では、春日鉱山、岩戸鉱山、赤石鉱山など、金を産出する鉱山が点在しており、かつての鉱業活動の名残を今に伝えています。主な山としては、以下のものがあります。

野間岳 - 標高591.1メートル。薩摩半島の三名山の一つとして知られ、地域住民に親しまれています。
陣ノ尾 - 標高463.0メートル。自然豊かな山で、登山を楽しむことができます。
草野岳 - 標高448.8メートル。

東部（指宿火山群）

指宿市を中心とした地域には、南九州市、鹿児島市、鹿屋市、錦江町にまたがり、阿多カルデラをはじめとする20以上の火山が密集しています。この地域は、活[[火山]]に指定されている池田山川や開聞岳を含み、火山活動が活発な地域です。比較的小規模な単成火山群に加え、カルデラやマールを起源とする円形の窪地が多数見られます。また、地熱が非常に豊富で、指宿温泉、鰻温泉、伏目温泉など、多くの温泉地が点在しています。これらの地熱は、山川地熱発電所において発電にも利用されており、地域のエネルギー源として重要な役割を果たしています。池田湖の西側には、薩摩藩時代から金を産出していた大谷鉱山があります。

古期指宿火山群

尾巡山 - 標高577.1メートル。山頂周辺には千貫平と呼ばれる高原が広がっています。約300～400万年前に活動した火山の名残とされています。
鬼門平 - 標高306.8メートル。
矢筈岳 - 標高358.8メートル。約100万年前に活動した火山です。

中期指宿火山群

魚見岳 - 標高215メートル。
大野岳 - 標高465.9メートルの小型成層火山です。
阿多カルデラ - 薩摩半島の南東端部および鹿児島湾の湾口部を構成する巨大なカルデラです。約11万年前に大規模な噴火が発生しました。
横尾岳 - 標高426.3メートル。大隅半島に位置し、阿多カルデラに関連した溶岩流から形成されています。

新期指宿火山群

清見岳 - 標高401.9メートル。約5万年前に活動した火山です。
辻之岳 - 標高227.6メートル。
竹山 - 鹿児島湾を望む標高202メートルの火山岩頸です。正確には火山ではありませんが、5～6万年前に形成された安山岩で構成されています。山腹には特別天然記念物に指定されているソテツ自生地があります。
池田山川 - 約5500年前に相次いで噴火した火山群の総称です。
池田湖 - 池田カルデラとも呼ばれるカルデラ湖です。この美しい湖は、南薩摩地域の象徴的な存在です。
松ヶ窪、池底、成川盆地 - マールに土砂が堆積して形成された盆地です。これらの盆地は、過去の火山活動の痕跡を示しています。
鰻池 - マールに水が溜まってできた湖です。静かで神秘的な雰囲気を醸し出しています。
山川湾 - マールに海水が侵入してできた湾です。複雑な海岸線が特徴的です。
鍋島岳 - 標高256.3メートル。約4500年前、池田湖南端部に噴出した溶岩ドームです。
大底月、小底月、鏡池、水無池 - 鍋島岳の南西部に並ぶマール群です。これらのマールは、火山活動によって形成された地形を観察する上で重要です。
開聞岳 - 標高924メートルの複成火山です。最近の噴火は885年（仁和元年）に記録されています。南薩摩地域の最高峰であり、その美しい円錐形の山容は、地域の人々にとって象徴的な存在です。

まとめ

南薩火山群は、多様な火山地形、活発な地熱活動、豊かな自然環境が共存する地域です。西部には古い火山群、東部には活[[火山]]が密集しており、温泉、地熱発電、観光など、地域経済に重要な役割を果たしています。この地域は、地質学的に非常に興味深く、多くの研究者や観光客を魅了し続けています。

参考文献

町田洋他編 『日本の地形 7 九州・南西諸島』 東京大学出版会、2001年、ISBN 4-13-064717-2
松本達郎ほか 『日本地方地質誌 九州地方』 朝倉書店、1973年

外部リンク

日本の火山 指宿火山群 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

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