卵胞刺激ホルモン

卵胞刺激ホルモン（FSH）について

卵胞刺激ホルモン、英語ではFollicle Stimulating Hormone（FSH）は、脳下垂体前葉にて産生される重要なホルモンです。このホルモンは、女性においては卵巣内で未成熟な卵胞の成長を促し、成熟に導く役割を担っています。また、男性においては精巣のセルトリ細胞に働きかけ、精子形成に必要なアンドロゲン結合タンパク質の生成を促進します。

構造と異なるサブユニット

FSHは糖タンパク質であり、αサブユニットおよびβサブユニットの二量体を形成しています。これらのサブユニットは異なるアミノ酸配列を持ち、FSHの特異な生物学的作動を提供しています。FSHのαサブユニットは92アミノ酸から成り、LH（黄体形成ホルモン）、TSH（甲状腺刺激ホルモン）、hCG（ヒト絨毛性ゴナドトロピン）と共通です。一方で、βサブユニットは118アミノ酸から成り、FSH特有の受容体との相互作用を生む重要な要素です。FSHの半減期は約3～4時間であり、その生理的効果を理解する上で重要な指標となります。

遺伝子とその制御

FSHのαサブユニットをコードする遺伝子は、染色体の6p21.1-23に位置しており、多様な細胞で発現しています。βサブユニットは、11p13に存在し、脳下垂体の性腺刺激ホルモンを生成する細胞で特異的に発現します。FNHR（性腺刺激ホルモン放出ホルモン）による制御を受けつつ、インヒビンによって抑制される一方、アクチビンによって強化されています。

FSHの生理的役割

FSHの主要な役割は、男女共に生殖細胞の成熟を促すことです。女性では卵胞の成長を促進し、エストロゲンの産生を刺激します。また、進展した卵胞がインヒビンBを分泌することにより、FSHの水準が低下し、最も発達した卵胞を一つ選び出すプロセスが開始されます。このメカニズムは、排卵の準備において非常に重要です。

活性の欠如による影響

FSH活性が不足すると、様々な生理的問題が生じる可能性があります。例えば、カルマン症候群や視床下部の抑制、または下垂体機能不全などが挙げられます。他にも、高プロラクチン血症やGnRH（性腺刺激ホルモン放出ホルモン）の活性の変化が関連しています。

FSHの過剰活性

一方、FSHが過剰である場合も問題が起こり得ます。下垂体腫瘍や性腺機能不全などが引き起こされることがあります。

市販されている医薬品

FSHに関連する医薬品も多様で、市販されている製剤には尿中のヒト下垂体性性腺刺激ホルモン（hMG）の製剤、精製されたFSH、そして遺伝子組換え製品（Follitropin）が含まれます。高度な治療が求められる今、フォリトロピンアルファ（遺伝子組換え）注射用（商品名：ゴナールエフ）など、近年の研究による新しい医療技術も続いています。

このようにFSHは、男女の生殖機能において不可欠な役割を果たしており、その理解は医療現場にとっても重要です。

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