厳原町

厳原町（いづはらまち）とは

厳原町は、長崎県の対馬南部に位置していた自治体です。2004年3月1日に周辺の町と合併し、対馬市となり消滅しました。かつては対馬の政治・経済の中心地として栄え、対馬振興局（旧対馬支庁、旧対馬地方局）の所在地でもありました。

地理

厳原町は対馬の南端に位置し、東部から南部にかけてはリアス式海岸が発達しています。一方、西部は断崖絶壁の海岸線が続いています。内陸部は300mから650m級の急峻な山々が連なっており、平地は西部の佐須川流域を除いてほとんどありません。そのため、集落は僅かな平地のある河口部などに点在し、集落間の道路は曲がりくねった山道がほとんどです。

最大市街地は東部の厳原地区で、ここは対馬の政治・経済の中心であり、県や国の出先機関が多数所在しています。この地区は、離島では珍しく人口集中地区を形成していました。

主な山：有明山（558.09m）、龍良山（558.38m）、矢立山（648.40m）

主な川：阿連川、佐須川、瀬川

歴史

厳原町役場付近は、かつて対馬国の国府が置かれた場所と考えられていますが、現在まで遺構は発見されていません。

1274年の文永の役では、町西部の小茂田浜に元・高麗軍が襲来し、大きな被害を受けました。鎌倉時代には、対馬を治める宗氏が、対馬中部の峰町佐賀地区から厳原地区に移り住み、この地が城下[[町]]として発展しました。

城下[[町]]にあたる地域は、当初「与良」と呼ばれていましたが、時代とともに国府、府中、府内と呼称が変化しました。明治維新後の1869年（明治2年）に「厳原（いづがはる）」と改称されましたが、後に読みを「いづはら」に改めました。

近現代の歴史

1874年（明治7年）：厳原小学校が設置。
1905年（明治38年）：上下県郡総町村立対馬中学校（長崎県立対馬高等学校の前身）が設立。
1948年（昭和23年）：厳原港に海上保安庁厳原海上保安部（現・対馬海上保安部）が設置。
1959年（昭和34年）：厳原町役場久田支所が廃止。
1974年（昭和49年）：厳原港大橋が開通。
1978年（昭和53年）：対馬高校が現在地に移転。
1980年（昭和55年）：第一回「厳原港まつり」が開催。
2002年（平成14年）：国道382号小浦 - 厳原バイパスが開通。

行政区域の変遷

1908年（明治41年）の島嶼町村制施行により、以下の町村が発足しました。

厳原町：旧厳原城下10箇町、厳原村、久田村、南室村、小浦村、曲村が合併。
与良村：豆酘村、尾浦村、安神村、久和村、与良内院村、豆酘内院村、豆酘瀬村、佐須瀬村、内山村が合併。
佐須村：久根浜村、久根田舎村、上槻村、椎根村、小茂田村、樫根村、下原村、阿連村が合併。

1912年（明治45年）には、以下の廃置分合が行われました。

厳原町の一部と与良村の一部が合併し、久田村が発足。
与良村の残部が豆酘村として分立。

1956年（昭和31年）に厳原町、久田村、豆酘村、佐須村が合併し、新たな厳原町が発足しました。2004年（平成16年）には周辺の町と合併し、対馬市となりました。

地名

厳原町には、以下のような大字が存在しました。

厳原北里、厳原西里、厳原東里、今屋敷、大手橋、久田道、小浦、国分、桟原、田渕、天道茂、中村、南室、日吉、曲、宮谷
旧久田村：安神、内山、尾浦、久田、久和、佐須瀬、豆酘瀬、豆酘内院、与良内院
旧豆酘村：浅藻、豆酘
旧佐須村：阿連、樫根、久根田舎、久根浜、上槻、小茂田、椎根、下原

教育

2004年3月時点では、以下の教育機関が存在しました。

高等学校

長崎県立対馬高等学校

中学校

厳原町立厳原中学校
厳原町立久田中学校
厳原町立佐須中学校
厳原町立豆酘中学校

小学校

厳原町立阿連小学校
厳原町立厳原小学校
厳原町立大調小学校
厳原町立金田小学校
厳原町立北小学校
厳原町立久田小学校
内山分校
対馬市立内院小学校
厳原町立久和小学校
厳原町立豆酘小学校
瀬分校

交通

空港

最寄り空港：対馬空港

バス路線

対馬交通

道路

国道382号
長崎県道24号厳原豆酘美津島線
長崎県道44号桟原小茂田線

船舶

ジェットフォイル（九州郵船「ヴィーナス」）：上[[対馬町]] - 厳原港 - 壱岐 - 博多港
フェリー（九州郵船「フェリーちくし」・「フェリーきずな」）：厳原港 - 壱岐 - 博多港
高速船（大亜高速海運「シーフラワー」）：厳原港 - 大韓民国釜山港

名所・旧跡・観光スポット

万松院
金石城跡
清水山城跡
桟原城跡
武家屋敷跡
お船江跡
石屋根倉庫
小茂田浜（元寇古戦場）
小茂田浜神社
豆酘多久頭魂神社

祭事・催事

厳原港まつり：1964年に始まり、1980年に朝鮮通信使行列が加わった。2012年に対馬仏像盗難事件が起こるまでは「厳原港まつり対馬アリラン祭」という名称だったが、その後「対馬アリラン」を削除した。
地蔵盆
亀卜祭（サンゾーロー祭）
赤米神事

参考文献

角川日本地名大辞典 42 長崎県
平山棐 編『津島紀事』(1917年)

外部リンク

いづはらまちホームページ（ウェイバックマシン - 2004年4月6日時点のアーカイブ）
対馬6町合併協議会（総務省 合併デジタルアーカイブ）
長崎県下県郡厳原町 (42441A1968) | 歴史的行政区域データセットβ版 Geoshapeリポジトリ

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