双津竜順一

双津竜順一（ふたつりゅう じゅんいち）

双津竜順一は、1950年2月28日に北海道室蘭市で生まれ、2014年8月12日に亡くなった元大相撲力士です。本名は山本順一で、時津風部屋に所属していました。身長185cm、体重171kgという恵まれた体格を持ち、右四つを得意としていました。現役時代の愛称は「ゾウさん」で、親しまれていました。

生い立ちと入門

製鉄所で働く父の長男として生まれた双津竜は、中学時代に時津風部屋に入門しました。1963年9月場所前に新弟子検査に合格しましたが、実際に前相撲を取ったのは翌1964年1月場所でした。同期には、後にプロレスラーとなる天龍源一郎がいました。

1969年9月場所、双津竜は同じ時津風部屋の先輩力士「双ツ龍」にあやかり、四股名を「双ツ竜」と改めました。この場所で幕下優勝を果たし、翌11月場所には19歳で十両に昇進しました。当時、時津風部屋には関取が少なく、双津竜の十両昇進は部屋を救う出来事となりました。しかし、立合いの遅さから、十両から抜け出せずに2年以上を過ごしました。

幕内昇進と三役

1972年3月場所、双津竜はついに念願の新入幕を果たしました。全盛期には体重が180キロに達し、当時の力士としては巨漢でした。体力を活かした豪快な相撲で、右四つになると特に力を発揮しました。しかし、故障が多く、幕内と十両を往復することが多くありました。1977年9月場所以降、幕内に定着し、1979年7月場所には最高位となる小結に昇進しました。これが双津竜にとって最初で最後の三役経験となりました。しかし、1980年3月場所に右腕の上腕二頭筋を断裂して途中休場して以降は、幕内から遠ざかり、1982年1月場所には幕下に陥落しました。その後、十両に返り咲くことはなく、同年11月場所を最後に現役を引退し、年寄・錦島を襲名しました。

引退後と時津風部屋継承

引退後、双津竜は20年にわたり時津風部屋の親方として後進の指導にあたりました。2002年、先代の時津風親方（元大関・豊山）の定年を機に、時津風部屋を継承しました。部屋の師匠としては、関脇・豊ノ島や小結・時天空らを育成しました。

弟子への暴行事件と解雇

2007年、双津竜の部屋で悲劇が起こりました。序ノ口力士の時太山が暴行によって死亡したのです。この事件をめぐり、双津竜は当初、時太山がマリファナを使用していたなどと発言しましたが、後にビール瓶で殴打するなど暴行の事実が明らかになりました。また、時太山が倒れた直後、救急車を呼ばずに口止めしたり、遺族に火葬を強要しようとしたことも判明しました。これらの行為は世間から大きな非難を浴び、双津竜は日本相撲協会から解雇処分を受けました。

解雇後、双津竜は傷害致死容疑で逮捕され、懲役6年の実刑判決を受けました。その後、控訴審では懲役5年に減刑されましたが、上告棄却となり実刑が確定しました。服役中に肺癌が見つかり、病気のため刑の執行停止を受けましたが、2014年8月12日に64歳で亡くなりました。

人物像

「ゾウさん」の愛称で親しまれた双津竜は、一見温厚で優しい人柄で知られていました。弟子思いの親方であり、特に豊ノ島からは尊敬されていました。しかし、一方で酒癖が悪く、酒に酔うと弟子に暴力を振るうこともあったと言われています。関係者によると、「酒の強さなら横綱」と言われるほどの酒豪であり、1973年の中国公演では、60度の茅台酒を一気飲みして周恩来首相を驚かせたというエピソードも残っています。

主な成績

生涯成績：676勝669敗30休 勝率.503
幕内成績：186勝226敗23休 勝率.451
現役在位：118場所
幕内在位：29場所
三役在位：1場所 （小結1場所）

各段優勝

十両優勝：2回（1975年5月場所、1975年11月場所）
幕下優勝：1回（1969年9月場所）

改名歴

山本 順一（やまもと じゅんいち）1963年9月場所
山本川 順一（やまもとかわ-）1963年11月場所～1969年7月場所
双ツ竜 順一（ふたつりゅう-）1969年9月場所～1971年9月場所
双津竜 順一（ふたつりゅう-）1971年11月場所～1982年11月場所

年寄変遷

錦島 順一（にしきじま）1982年11月～2002年8月
時津風 順一（ときつかぜ）2002年8月～2007年10月

著書

『悪者扱い』（竹書房：2011年7月）

関連項目

小結一覧
時津風部屋力士暴行死事件
本名が「山本」の力士
山本山龍太
* 一山本大生

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