古仁屋港

古仁屋港について

古仁屋港は、鹿児島県大島郡瀬戸内町に位置する港湾で、奄美大島の南西部にあります。加計呂麻島との間にある大島海峡に面しており、周辺海域は奄美群島国立公園に指定されています。この港は、瀬戸内町の中心地である古仁屋地区の海上の玄関口として、地域住民の生活と観光を支える重要な拠点となっています。

港の概要

古仁屋港は、奄美大島南部における物流と交通の中心地として機能しています。近隣の加計呂麻島、請島、与路島をはじめ、徳之島、沖永良部島、喜界島、さらには鹿児島港を結ぶ定期航路が就航しており、これらの島々への人や物の流れを支えています。また、海上タクシーも頻繁に利用されており、島民の生活に密着した交通手段となっています。

2017年には、周辺海域が奄美群島国立公園に指定されたことで、その美しい自然環境にも注目が集まっています。特に、サンゴ礁が広がる大島海峡の海中景観は、水中観光船「せと」に乗船することで気軽に楽しむことができ、観光客に人気のスポットとなっています。

港周辺の交通アクセスも充実しており、奄美空港から名瀬市街を経由して古仁屋港まで直通する路線バス「しまバス」が毎日運行されています。また、瀬戸内町内を巡回する瀬戸内海浜バスのターミナルや、海上タクシーの待合室も隣接しており、利便性の高い交通網が整備されています。

さらに、港周辺には、瀬戸内町最大のスーパーマーケットであるA-COOPやファミリーマートなどの小売店もあり、地域住民の生活を支える拠点としての役割も担っています。

海の駅「せとうち海の駅」

1991年から始まった「コニヤ21プラン」の一環として、2007年に総工費約5億円をかけて「せとうち海の駅」が完成しました。この施設は、1階に船の営業所、待合室、特産品や海産物の販売所、公衆便所などを備え、2階には食堂があります。この施設は、港湾利用者にとって便利な休憩場所、情報発信拠点となっています。

海上防衛・警備の拠点

古仁屋港は、海上防衛や海上警備の拠点としての側面も持っています。海上自衛隊佐世保地方隊奄美基地や、海上保安庁第十管区海上保安本部奄美海上保安部古仁屋海上保安署が設置されており、地域の安全を守る役割を果たしています。

旅客輸送の状況

2015年度の古仁屋港の発着数は4,133隻、総トン数は1,849,219トン、利用客数は108,460人（乗船55,039人、下船53,421人）でした。これは、この港が地域経済と人々の移動にとって非常に重要な役割を果たしていることを示しています。

旅客ターミナルである「せとうち海の駅」からは、以下の航路が運航されています。

奄美海運:
フェリーあまみ、フェリーきかい - 鹿児島港、湾港（喜界島）、名瀬港、古仁屋港、平土野港（徳之島）、知名港（沖永良部島）を結ぶ航路。
週5便運航。
鹿児島港から古仁屋港まで約17時間、知名港へは約5時間の航海。
瀬戸内町営フェリー:
フェリーかけろま - 古仁屋港と加計呂麻島（瀬相・生間）を結ぶ航路。
* せとなみ - 古仁屋港と請島（請阿室・池地）、与路島を結ぶ航路。

過去の航路と海上タクシー

かつては、奄美大島の道路事情が良くなかった昭和50年代頃まで、瀬戸内町内の集落（阿鉄、小名瀬、油井、篠川、阿室釜、呑之浦等）や宇検村宇検、名瀬港などへも航路があり、住民の日常生活に利用されていました。現在では、海上タクシーがその役割を担っています。

観光船とその他の施設

古仁屋港からは、クジラをイメージした半潜水式水中観光船「せと」が運航しています。この観光船では、展望室から大島海峡の美しいサンゴ礁や、様々な熱帯魚を観察することができます。

また、クルーズ客船の入港や着岸も可能ですが、定期船が優先されるため、一時的に離岸しなければならない場合があります。着岸できない場合は、沖合に停泊し、通船で乗客の乗り降りが実施されます。

港周辺には、時間制限のある無料駐車場やポケットパーク、クロマグロ養殖日本一モニュメント、幸せの鐘モニュメント、大湊緑地公園、相撲場などの施設も整備されており、観光客や地域住民の憩いの場となっています。

まとめ

古仁屋港は、交通の要衝であるだけでなく、美しい自然環境や多様な施設を持つ魅力的な港です。奄美大島を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

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