古力

古力（こ りき、グ・リ、1983年2月3日 - ）は、中国の囲碁棋士であり、その卓越した棋力と数々のタイトル獲得から、世界的に知られています。重慶市出身で、中国囲棋協会に所属し、九段の段位を有しています。日本では、彼の名前を元音読みした「ぐり」という愛称で親しまれることもあります。

棋士としての歩み

古力は、幼少期から囲碁に親しみ、6歳で父親から囲碁を学び始めました。その後、重慶棋院に通うようになり、その才能を開花させます。1994年には、世界青少年囲碁選手権大会の少年組で優勝を果たし、その名を轟かせました。12歳で国家少年囲棋隊に入隊し、1995年に入段、プロ棋士としてのキャリアをスタートさせました。1997年には、中国囲碁界の重鎮である聶衛平の門下に入り、さらに棋力を磨きました。

1998年にはCCTV杯でベスト8に進出、1999年には阿含・桐山杯でベスト4、聖雪絨杯囲棋王戦で準優勝を果たすなど、若くして数々の実績を残しました。2001年には新人王戦で優勝し、2002年には七段に昇段しました。そして、2003年には天元戦で優勝して以来6連覇、2005年には名人戦でも優勝し、こちらも6連覇を達成しました。

2006年には、LG杯世界棋王戦で優勝し、九段に昇段。この優勝は、中国棋士の世界戦優勝最年少記録となり、彼の故郷である重慶市では記念切手が発行されました。2008年の第1回ワールドマインドスポーツゲームズでは、選手宣誓を務め、男子個人戦でベスト8に進出しました。2009年には、トヨタ&デンソー杯、LG杯、BCカード杯の3つの世界選手権で優勝するという快挙を成し遂げました。2010年には、アジア競技大会の男子団体戦で銀メダルを獲得、さらに第1回世界囲碁名人戦で優勝しました。

2014年には、韓国のトップ棋士である李世乭と十番碁を行い、2勝6敗で敗れましたが、2016年には農心杯で3人抜きを達成しています。

囲碁界への貢献

古力は、中国囲碁甲級リーグにおいて、1999年から長らく重慶チームに所属し、チームの5連覇に貢献しました。2004年には15連勝を記録するなど、その実力は群を抜いていました。2017年からはコーチも兼任し、後進の育成にも力を注いでいます。中国棋士ランキングでは、2003年から2008年まで1位を独走しました。

人物像

古力は、囲碁だけでなく、サッカーを愛する一面も持っており、ロナウジーニョのファンとしても知られています。2008年の四川大地震では、被災者に10万元を寄付するなど、社会貢献活動にも積極的に参加しています。また、北京オリンピックの聖火リレーでは、重慶地区のランナーの1番手を務めました。2005年には、重慶市十大傑出青年に選出され、2008年には中国体育運動栄誉賞を受賞しました。

2016年5月18日には、通算1000勝を達成し（500敗3無）、勝率66.67%という驚異的な数字を記録しています。この偉業は、33歳3ヶ月、プロ入りから20年11ヶ月での達成でした。

タイトル歴

古力の輝かしいタイトル歴の一部をご紹介します。

国際棋戦

LG杯世界棋王戦（2006年、2009年）
春蘭杯世界囲碁選手権戦（2007年、2015年）
世界囲碁選手権富士通杯（2008年）
トヨタ&デンソー杯囲碁世界王座戦（2009年）
BCカード杯世界囲碁選手権（2009年）
三星火災杯世界囲碁マスターズ（2010年）
中国・常徳杯世界囲棋名人争覇戦（2010年）
桂林杯世界優勝戦（2012年）

国内棋戦

新人王戦（2001年、2005年）
天元戦（2003年～2008年）
名人戦（2005年～2009年）
竜星戦（2008年、2014年）

その他、数多くの棋戦で優勝、入賞を重ねています。

代表局

古力の代表局として、2009年の第13回LG杯世界棋王戦決勝第2局が挙げられます。この対局で、ライバルの李世乭を破り、LG杯2度目、世界戦5度目の優勝を果たしました。

対局詳細

第1局で先勝した古力は、第2局で後手番となりました。序盤は李世乭が有利に展開しましたが、古力は中盤以降、巧みな打ち回しで形勢を逆転させました。最終的に、172手で古力が中押し勝ちを収めました。この対局は、古力の卓越した棋力と勝負強さを象徴する一局として、多くの囲碁ファンに語り継がれています。

古力は、その圧倒的な強さと数々の功績により、中国囲碁界だけでなく、世界の囲碁界を代表する棋士の一人として、その名を歴史に刻んでいます。彼の今後の活躍にも、目が離せません。

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