古四王神社

古四王神社の由緒と歴史

古四王神社（こしおうじんじゃ）は、秋田県秋田市に位置する神社で、古代から人々の信仰を集めてきました。社伝によれば、その起源は崇神天皇の時代に遡ります。四道将軍の一人である大彦命が蝦夷を平定する際、北方の守護神として武甕槌神を齶田浦神（あぎたのうらのかみ）として祀ったのが始まりとされています。その後、斉明天皇の時代には阿倍比羅夫が自らの祖である大彦命を合祀し、越王神社（古四王神社）として創建したと伝えられています。

「齶田浦神」という名は日本書紀にも見られ、一説には蝦夷が信仰した地主神や海洋神であると考えられています。この「齶田」という地名が、「秋田」の古名であるという説もあります。

古四王神社は、延喜式神名帳には記載されていませんが、『日本三代実録』には、貞観7年（865年）に「出羽国正六位上城輪神。高泉神並従五位下」と記されており、この「高泉神」が古四王神社のことであると唱える学者もいます。ただし、高泉神が古四王神社であるという確証は、他に存在しません。

しかし、新潟・山形・秋田を中心に、北陸・東北地方に「胡四王」「古四王」「巨四王」など、様々な表記の神社が多数分布していることから、この地域には、阿倍氏の祖神と蝦夷の土着の神が習合した信仰があったと考えられています。

伝説では、坂上田村麻呂が802年の蝦夷討伐の際に、境内に存在する田村神社で戦勝祈願を行ったとされています。また、この地は移転後の出羽柵（後の秋田城）の跡地に近く、中世には城の守りとして創建された四天王寺と習合し、古四王大権現として崇敬されました。安東氏の寄進も受けて、地域における重要な神社としての地位を確立します。

江戸時代に入ると、佐竹氏が秋田に入部した後も、神社は社領を寄進され、最終的に60石となりました。この頃から、古四王神社は単なる武神としてだけでなく、豊作や眼病に霊験あらたかであるとして、近隣住民から広く信仰を集めるようになります。江戸時代には、秋田六郡三十三観音霊場の24番札所にも指定されました。

また、江戸時代の随筆家、曲亭馬琴の著作「玄同放言」にも、古四王社の挿絵が掲載されています。

近代社格制度の下では、最初は郷社に指定されましたが、後に県社、そして国幣小社へと昇格し、秋田県内では最も高い社格を有する神社となりました。

祭神と境内社

古四王神社の祭神は、大彦命と武甕槌命です。

境内には、以下の境外社があります。

田村神社（住吉神社・今木神社を合祀）
岩戸神社
神明社

年表

崇神天皇時代：大彦命、武甕槌神を齶田浦神として奉祀（伝説）
658年（斉明天皇4年）：阿倍比羅夫、齶田浦神に大彦命を合祀して古四王神社創建（伝説）
733年（天平5年）：出羽柵を移転し秋田城と改称
この頃、城内に四天王寺創建、神仏習合により四天王を祀る
1602年（慶長7年）：佐竹義宣、秋田入封
1868年（明治元年）3月：神仏分離令
1871年（明治4年）5月14日：社格制度制定
1876年（明治9年）：県社に列せられる
1882年（明治15年）4月29日：国幣小社に列せられる

交通

秋田中央交通バスを利用。

秋田駅から将軍野線または寺内経由土崎線で寺内地域センター前または護国神社前下車。

その他

古四王神社は、仏教の影響を受け、近年まで氏子が肉、牛乳、卵を飲食しない風習があったとされています。また、神仏習合の名残として、神社の紋には輪宝が用いられています。

秋田県内には、秋田市の他にも、由利本荘市、にかほ市、大仙市、横手市、鹿角市、湯沢市など、各地に古四王神社が存在します。かつて湯沢市には、古四王中学校という中学校も存在しました。また、能代市の桧山神社にも、古四王神社が合祀されています。

これらの事からも、古四王神社が、秋田県民にとって非常に重要な神社であったことがうかがえます。

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