古里町 (鹿児島市)

古里町について

古里町は、鹿児島県鹿児島市に位置する、桜島の南部に広がる町です。かつては東桜島村の一部でしたが、現在は鹿児島市の一つの町として、その歴史を刻んでいます。人口は100人程度と小さな町ですが、豊かな自然と歴史的背景を持つ地域です。

地理

古里町は桜島の南部に位置し、北から東にかけて有村町、西は東桜島町に隣接しています。南は鹿児島湾に面しており、海岸線が美しいのが特徴です。町域の大部分は、江戸時代の安永年間に発生した安永大噴火によって噴出した溶岩（安永溶岩）に覆われており、独特の地形を形成しています。海岸沿いの断崖にはアコウやタブノキなどの樹林がみられ、自然の豊かさを感じることができます。また、町域の南端には国道224号が東西に走り、海岸沿いには古里温泉があります。

自然公園・自然保護地区

古里町の一部は、霧島錦江湾国立公園の区域に指定されています。具体的には、第2種特別地域（桜島南斜面）、第3種特別地域（桜島南西麓）、普通地域から構成されており、自然保護の観点からも重要な地域です。

河川

町内には第二古里川が流れています。この川は、町の生活用水や農業用水として利用されているだけでなく、自然景観の一部としても重要な役割を果たしています。

歴史

古里という地名は江戸時代から見られ、当初は大隅国大隅郡桜島郷に属していました。古里村は、湯之村（現在の東桜島町）から分村して成立したとされています。1783年頃に湯之村から分村したとされていますが、伊能忠敬の測量記録や「三[[国名勝図会]]」では湯之村の一部とされています。

1779年の安永大噴火では、噴火口が古里村と高免村（現在の高免町）に現れ、古里村の家々は火山弾によって焼失しました。住民は喜入や鹿児島城下へ避難し、噴火が落ち着いた後、隣の湯之村に数年住んでから古里村に戻ったと伝えられています。この噴火によって湧出した温泉は、後に古里温泉となり、多くの湯治客が訪れるようになりました。

1889年の町村制施行により、古里村は周辺の村々と合併して東桜島村の一部となり、東桜島村の大字「古里」となりました。その後、1950年に東桜島村が鹿児島市に編入された際、大字古里の区域が鹿児島市の町「古里町」として新たに設置されました。また、1914年の大正大噴火では、古里の住民は事前に避難し、犠牲者は出ませんでした。

古里町は、その歴史の中で幾度かの噴火や災害を経験しており、住民たちはそれらの困難を乗り越えながら生活を続けてきました。

施設

公共施設

改新交流センター: 地域住民の交流拠点として利用されています。
古里公園: 自然豊かな公園で、散策やレクリエーションの場として親しまれています。
林芙美子文学碑: 小説家、林芙美子の文学碑が設置されています。林芙美子の母親が古里町出身であることが縁で、この地に碑が建てられました。

寺社

七社神社: 地域住民の信仰を集める神社です。

教育

かつては「鹿児島市立改新小学校」が存在していましたが、現在は閉校しています。

交通

道路

国道224号: 町の南端を東西に走る主要道路です。

路線バス

鹿児島交通: 桜島港と垂水港を結ぶ路線バスが町内を運行しており、改新校前、川穴、古里温泉、文学碑前などにバス停があります。

港湾

桜島港: 町の近くには桜島港があり、フェリーなどの利用が可能です。
古里地区（避難港（6番））: 災害時における避難港として利用されます。

関係のある人物

* 林芙美子: 小説家。母親が古里町出身であることが縁で、古里公園には文学碑が建てられています。

まとめ

古里町は、桜島の自然と噴火の歴史が色濃く残る町です。温泉や自然公園などの観光資源もあり、多くの人々が訪れます。また、地域住民の生活は自然と共存しており、その独自の文化が育まれています。この小さな町には、自然の恵みと人々の知恵が詰まっていると言えるでしょう。

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