台中捷運藍線

台中捷運藍線（ブルーライン）

台中捷運藍線は、台湾台中市で計画されている地下鉄路線であり、同市の交通渋滞緩和と、市中心部と海沿いエリアの連結を目的としています。この路線は、台中市を東西に横断する主要道路である台湾大道（省道台12線）の慢性的な交通渋滞を解消し、台中駅と海線と呼ばれる市沿岸部を軌道交通で直接結ぶために計画されました。

概要

台中捷運藍線は、かつてバス高速輸送システム（BRT）として運行されていた台中BRT藍線（現在の台中市公車台湾大道幹線）の実質的な昇格、復活とも言えます。2017年に蔡英文政権の公共インフラ政策「前瞻基礎建設計画」に組み込まれたことで、実現可能性調査（F/S）が加速し、2018年秋にF/Sが行政院で承認されました。その後、約2年にわたる総合計画策定を経て、2020年代前半の着工が予定されています。2024年1月29日には、総合計画が行政院で承認されました。

当初は台湾鉄路管理局（台鉄）海岸線沙鹿駅が起点でしたが、再開発が進む台中港方面への延伸が盛り込まれた結果、全長26.2km（高架12.7km、地下13.5km）となりました。高架駅9駅（BA1～BA3、B2～B7）と地下駅9駅（B1、B8～B15）の計18駅が設置され、車両基地は台中港付近と東海大学付近にそれぞれ設けられます。

路線は、三井アウトレットパーク台中港南側から高架で台湾大道に沿って東に進み、中華路との交差点付近で地下区間に入ります。中華路（台1線）と青年路を経由して沙鹿駅に至り、再び高架区間となって鎮南路を経由して台湾大道に再合流します。その後、福安路および安和路との交差点付近から都心寄りでは地下となります。市政府が所在する文心路との交差点には台中市政府駅が設けられ、緑線と接続します。民権路と建国路、八徳街を経由して台中駅西側で台鉄と連絡し、楽業路と進徳路に至り、三井不動産グループが進出予定の再開発地区である台糖生態公園付近が終点となります。

総事業費は約981.49億ニュー台湾ドル（土地収用費34.04億を含む）と見込まれており、工事費用の負担割合は市が494.66億（市政府一般会計122.71億と市債366.95億）、中央政府の補助が452.79億となっています。

沿革

第一期

実現可能性調査
1990年：台湾省政府住宅及都市発展処（省住都処）が「台中都会区大衆捷運系統計画」を構想しました。
1998年：省住都処が「台中都会区捷運路網細部計画」を策定。紅、緑、藍線の3路線で、藍線は東海大学から太平に至る14駅の構想でした。
1999年7月：虚省化により、計画は台湾省政府から行政院交通部高速鉄路工程局（高鉄局、現在の交通部鉄道局）に引き継がれました。
2008年11月15日：交通部、台中市政府、台北市政府が捷運烏日文心北屯線の建設及び運営方針で協定を締結。藍線は高鉄局から台中市政府へと継承されました。
2009年10月27日：「台中都会区大衆捷運系統路網検討計画報告書」では、中核路線が紅、緑、藍、橘線の4路線となり、中長期路線網として紫線と中核路線延伸線5路線が示されました。
2010年12月7日：台中市政府交通局が民間にF/S調査を委託し、翌年末に完成しました。
2011年11月：市交通局のF/S調査と公聴会により、台中港から太平に至る22駅の路線案が示されました。
2014年8月19日：市交通局は交通部にF/Sを提出しましたが、交通部はBRT藍線との重複を問題視し、都市計画での優先度を上げるよう要請しました。
2015年7月13日：新台中市長は中央政府の承認を得る方針を示しましたが、路線や経費負担の再検討を行うと表明しました。
2015年12月24日：F/S二次報告書が提出され、交通部は現地視察と初審会議を行いました。
2016年6月1日：F/S三次報告書が提出されました。
2016年8月2日：F/S四次報告書が提出され、台鉄沙鹿駅から台糖生態公園に至る15駅に改定されました。
2016年12月21日：交通部が条件付きでF/Sを承認しました。
2017年3月3日：交通局はF/S五次報告書を提出しました。
2017年3月23日：行政院が藍線を前瞻基礎建設計画のリストに加えることを表明しました。
2017年12月29日：交通局はF/S六次報告書を提出しました。
2018年3月29日：交通部が沙鹿までのF/Sを正式承認し、国家発展委員会に審査が送られました。
2018年5月22日：交通局は台中港への延伸を盛り込んだF/S七次報告書を提出しました。
2018年7月13日：交通部がF/Sを承認しました。
2018年8月22日：交通部が台中港延伸を含む修正F/S案を行政院に提出しました。
2018年9月12日：国家発展委員会の審議で承認されました。
2018年10月3日：行政院がF/Sを閣議決定し、2020年起工、2030年完工を予定しました。
総合計画
2019年2月23日：総合計画策定業務の入札が公示されました。
2019年3月15日：台湾世曦工程顧問公司が受注しました。
2019年4月23日：世曦工程が市政府に総合計画報告を提出しました。
2021年1月：B4駅が復活し、市中心部での経路が民権路経由から台湾大道経由に変更されました。
2021年3月4日：交通部に総合計画案が提出されました。総事業費の見積もりは、2駅追加や台湾大道区間での用地買収費用などで329億元増の1,309億元となりました。
2022年6月16日：環境アセスメント初期審査が通過しました。
2022年9月7日：環境アセスメント本審査が通過しました。

今後の予定

2031年完工を予定しています。

延伸計画

南投延伸（取消）
台糖生態公園を起点に、大里区、霧峰区、草屯鎮および南投市を経て南投県政府庁舎付近に至る全長約30km、18駅の高架路線で、総事業費は750億ニュー台湾ドルを見込んでいました。かつてこの区間は台湾糖業鉄道の中濁線が運行されており、1990年代には霧峰まで計画されていた捷運橘線の代替案でもありました。しかし、2020年には台中機場捷運（橘線）を延伸する案に切り替えられています。

太平延伸
2019年、新市長は南投ではなく太平区への延伸を推進すると表明しました。

駅一覧

（駅一覧は、太平延伸を反映していない）

脚注

註釈

出典
臺中都會區大眾捷運系統路網，臺中市政府交通局
臺中都會區大眾捷運系統後續路網規劃工作執行計畫書(定稿本)，臺中市政府交通局
臺中都會區大眾捷運系統後續路網藍線可行性研究，臺中市政府交通局
臺中都會區大眾捷運系統後續路網藍線可行性研究（2014年版），臺中市政府交通局
臺中都會區大眾捷運系統後續路網藍線可行性研究（2014年版）交通部審查意見彙總表，臺中市政府交通局

関連項目

捷運
台中捷運（MRT）
zh:輕軌捷運系統（LRRT）
zh:城市軌道交通
前瞻基礎建設計画

外部リンク

臺中市政府捷運工程處 （繁体字中国語）
* 王義川、馮輝昇. “臺中捷運藍線規劃與工程經驗展望”. 工程 (中國工程師學會) (Vol.92 第4期): pp.92-101. ISSN 1015-0773. http://www.cie.org.tw/cms/JournalFiles/10708_chapter10.pdf 2019年6月8日閲覧。

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