台湾の淡水魚一覧

台湾の淡水魚：多様な生態系を彩る魚たち

台湾の淡水域には、多様な淡水魚が生息しています。その種類は豊富で、古くから人々の生活と深く関わってきました。本稿では、台湾で見られる代表的な淡水魚について、分類ごとに詳しく見ていきます。

カライワシ目

この目は、沿岸域から河川にまで生息域を広げる種類が知られています。台湾では、以下の種類が確認されています。

カライワシ科: カライワシ（Elops hawaiensis）は、沿岸部から河口域に生息し、重要な食用魚として知られています。イセゴイ（Megalops cyprinoides）は、河口汽水域を好む大型種です。

ウナギ目

ウナギ類は、河川の上流域から下流域まで幅広く分布し、独特の生態で知られています。

ウナギ科: ニホンウナギ（Anguilla japonica）、オオウナギ（Anguilla marmorata）など、複数の種類が生息し、食用としても利用されます。ニューギニアウナギ（Anguilla bicolor pacifica）、セレベスウナギ（Anguilla celebesensis）、ウグマウナギ（Anguilla luzonensis）なども台湾の河川で見られます。
ウツボ科: コクハンカワウツボ（Gymnothorax polyuranodon）など、河川の下流域や汽水域に生息する種類もいます。

ネズミギス目

この目では、サバヒー科が台湾の淡水魚として知られています。

サバヒー科: サバヒー（Chanos chanos）は、沿岸部の汽水域や河口に生息する大型魚で、食用魚として重要です。

コイ目

コイ目は淡水魚の中でもっとも種類が豊富で、台湾の河川でも多くの種類が確認されています。

コイ科: コイ（Cyprinus carpio）、フナ（Carassius auratus）、ゲンゴロウブナ（Carassius cuvieri）など、人々に馴染み深い種類が多く含まれます。セイバンゴイ（Spinibarbus hollandi）、ゴマダラヒメゴイ（Puntius semifasciolatus）、ホシタナゴ（Puntius snyderi）など、固有種や地域固有亜種も存在します。タイワンハナマガリ（Acrossocheilus paradoxus）、クチマガリ（Onychostoma barbatulum）、セイタカクチマガリ（Onychostoma alticorpus）など、独特な形態をした種類も見られます。ケンヒー（Cirrhinus molitorella）、フサモロコ（Ptychidio jordani）なども台湾の河川に生息します。
タナゴ亜科: タイワンタナゴ（Paratanakia himantegus himantegus）、キビレタナゴ（Paratanakia himantegus chii）、タイリクバラタナゴ（Rhodeus ocellatus ocellatus）など、小型で美しい種類もいます。
カマツカ亜科: タイワンカマツカ（Microphysogobio brevirostris）など、底生生活を送る種類が多数含まれます。セダカコブクロカマツカ（Microphysogobio alticorpus）、タイワンドジョウカマツカ（Gobiobotia cheni）、コーラードジョウカマツカ（Gobiobotia kolleri）などは、台湾固有種と考えられています。コウライニゴイ（Hemibarbus labeo）、ギンモロコ（Squalidus argentatus）、バナレスクモロコ（Squalidus banarescui）、イイジマモロコ（Squalidus iijimae）なども見られます。
クセノキプリス亜科: タニガワヒナモロコ（Aphyocypris amnis）、キクチヒナモロコ（Aphyocypris kikuchii）、スイシャモロコ（Aphyocypris moltrechti）など、小型で繊細な種類が含まれます。タイワンアカハラ（Candidia barbata）、ヘイトウアカハラ（Candidia pingtungensis）、カワヒラ（Chanodichthys erythropterus）、ソウギョ（Ctenopharyngodon idella）、ツマリカワヒラ（Culter alburnus）、ゴンヒー（Distoechodon tumirostris）、カワイワシ（Hemiculter leucisculus）、ハクレン（Hypophthalmichthys molitrix）、コクレン（Hypophthalmichthys nobilis）、ダントウボウ（Megalobrama amblycephala）、ヒメワタカ（Metzia formosae）、タカギタナゴ（Metzia mesembrinum）、アオウオ（Mylopharyngodon piceus）、メダマ（セマガリ）（Sinibrama macrops）、ヒレナガオイカワ（Opsariichthys evolans）、コウヘイオイカワ（Opsariichthys kaopingensis）、タカサゴオイカワ（Opsariichthys pachycephalus）、オイカワ（Opsariichthys platypus）など、多様な種類が生息しています。

ドジョウ科

ドジョウ科は、底生生活をする魚が多く、台湾の河川でも多くの種類が見られます。

ドジョウ科: カラシマドジョウ（Cobitis sinensis）、ドジョウ（Misgurnus anguillicaudatus）、カラドジョウ（Misgurnus dabryanus）などが代表的な種類です。

タニノボリ科

渓流域に生息する種類が多く、吸盤状の口で岩などに付着して生活します。

タニノボリ亜科: オオタニノボリ（Formosania lacustre）、タニノボリ（Hemimyzon formosanus）、タイトウタニノボリ（Hemimyzon taitungensis）、タイナンタニノボリ（Sinogastromyzon nantaiensis）、ホリシャタニノボリ（Sinogastromyzon puliensis）など、固有種が多く見られます。

ナマズ目

ナマズ類は、夜行性で、底生生活を送る種類が多いです。

ナマズ科: ナマズ（Silurus asotus）は、広く分布する種類です。
ギギ科: ヒレナガギギ（Tachysurus adiposalis）、スイシャギギ（Tachysurus brevianalis）などが生息しています。
アカザ科: タイワンナマズ（Liobagrus formosanus）は台湾固有種です。
ヒレナマズ科: ヒレナマズ（Clarias fuscus）、ウォーキングキャットフィッシュ（Clarias batrachus）は、独特の生態で知られています。

サケ目

サケ類は、降海型と陸封型が存在します。

サケ科: タイワンマス（Oncorhynchus masou formosanus）は、台湾の高山渓流に生息する固有亜種です。

キュウリウオ目

この目では、アユ科が台湾の淡水魚として知られています。

アユ科: アユ（Plecoglossus altivelis）は、河川の上流域に生息し、食用としても人気があります。

タウナギ目

タウナギ類は、底生生活を送る種類が多いです。

タウナギ科: タウナギ（Monopterus albus）は、河川の下流域や水田などに生息します。
トゲウナギ科: トゲウナギ（Sinobdella sinensis）は、独特の形態で知られています。

このように、台湾の淡水魚相は非常に多様性に富んでおり、多くの固有種や地域変異が見られます。それぞれの種が、台湾の豊かな自然環境の中で独自の進化を遂げ、生態系を支える重要な役割を果たしているのです。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

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