台湾省の行政区画

台湾省の行政区画

台湾省の行政区画は、歴史的な経緯から複雑な変遷を遂げてきました。この記事では、17世紀のオランダ・スペイン統治時代から現代に至るまでの台湾省の行政区画の変遷について詳しく解説します。

17世紀の植民地時代

オランダ統治時代

1624年、オランダは台湾南部にフォルモサ植民地を設立し、1642年には台湾北部を占領しました。植民地は北部・南部・淡水・卑南の4地方会議区に分割されました。

スペイン統治時代

1626年、スペインは台湾北部にハモサ植民地を設立し、淡水・カバラン・トゥロボアンの3省区に分割しました。しかし、1642年にオランダによって駆逐されました。

鄭氏政権時代

1661年、鄭成功はオランダを駆逐して台湾を占領し、東都と改称しました。承天府、天興県、万年県の1府2県を設置しました。1664年、鄭経は東都を東寧と改称し、天興県と万年県を州に改め、澎湖、北路、南路の3安撫司を新設しました。

清朝統治時代

1683年、清朝は台湾を占領し、1684年に台湾府を設置し、台湾、鳳山、諸羅の3県を設置しました。その後、1727年には4県2庁、1845年には4県3庁、1875年には台北府を設置し、合計8県4庁となりました。1887年には福建台湾省が設置され、台北、台湾、台南の3府、11県3庁、台東直隷州が設置されました。1894年には南雅庁が設置され、最終的に3府11県4庁1直隷州となりました。

日本統治時代

1895年、日清戦争の結果、台湾は日本に割譲されました。初期には3県1庁でしたが、1901年には20庁、1920年には5州2庁、1926年には5州3庁となりました。1920年以降、州の下で市制が施行され、1945年の台湾光復時には11の市が存在しました。

中華民国統治時代

台湾省の設置

1945年10月25日、中華民国は台湾を編入し、台湾省を設置しました。当初は8県9市が設置されました。1947年には台湾省政府が台北市に設置されましたが、1957年に南投県中興新村に移転しました。

行政区画の変遷

1949年には台北県から草山管理局が設置され、1950年には陽明山管理局に改称されました。同年、大規模な行政区画の再編が行われ、宜蘭、桃園、苗栗、彰化、南投、雲林、嘉義、屏東の8県が設置され、新竹、彰化、嘉義、屏東の4市が県轄市に降格しました。

直轄市の設置

1967年には台北市が直轄市に昇格し、1979年には高雄市が直轄市に昇格しました。これにより、両市は台湾省から離脱しました。また、1968年には陽明山管理局が台北市に編入され、1981年には梨山建設管理局が降格しました。

台湾省の機能縮小

1998年、「台湾省政府功能業務・組織調整暫行条例」が施行され、台湾省は地方自治機能を失い、行政院の出先機関となりました。県・市は内政部の直接管轄下となりました。

直轄市の増加

2010年には台北県、台中県、台中市、台南県、台南市、高雄県が直轄市となり、2014年には桃園県が直轄市に昇格し、台湾省から離脱しました。

台湾省政府の事実上廃止

2018年、台湾省政府の予算がゼロとなり、事実上廃止され、全ての業務と組織が国家発展委員会に移管されました。

現在の行政区画

2024年現在、台湾省には14の県と3つの市が存在します。これらの行政区画は、複雑な歴史を経て現在の形に至っています。

県

台湾省には以下の14県が存在します。

宜蘭県
新竹県
苗栗県
彰化県
南投県
雲林県
嘉義県
屏東県
台東県
花蓮県
澎湖県

市

台湾省には以下の3市が存在します。

基隆市
新竹市
嘉義市

まとめ

台湾省の行政区画は、植民地時代から現代まで、数多くの変遷を遂げてきました。これらの変遷を理解することは、台湾の歴史と政治を理解する上で非常に重要です。

参考文献

施雅軒 (2003). 臺灣的行政區變遷. 臺北: 遠足文化事業. ISBN 9789867630124

関連項目

台湾省
台湾省政府功能業務・組織調整
台湾の行政区分

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