吉江誠一

吉江誠一：激動の時代を駆け抜けた陸軍軍人・陸上自衛官

吉江誠一（よしえ せいいち）は、1911年1月29日に生まれ、2000年5月17日に亡くなった日本の陸軍軍人、そして陸上自衛官です。最終階級は陸将で、第7代陸上幕僚長を務めました。

生い立ちと軍歴

静岡県立静岡中学校、東京陸軍幼年学校、陸軍予科士官学校を経て、陸軍士官学校に入校しました。陸軍士官学校卒業は第43期です。同期には、後に陸上幕僚長となる天野良英がいます。天野は陸軍大学校では吉江の1年先輩でした。

旧軍時代は、陸軍省補任課で人事担当としてキャリアを重ねました。温厚で几帳面な性格だったと伝えられています。

略歴

1931年（昭和6年）7月：陸軍士官学校卒業
1931年（昭和6年）10月：陸軍少尉に任官、近衛歩兵第3連隊に配属
1934年（昭和9年）3月：陸軍中尉に昇進
1935年（昭和10年）12月：陸軍大学校に入校
1938年（昭和13年）5月：陸軍大学校卒業（第50期）
1939年（昭和14年）5月：第21軍参謀に就任
1940年（昭和15年）2月：南支那方面軍参謀に就任
1940年（昭和15年）8月：参謀本部庶務課勤務
1940年（昭和15年）10月：閑院宮載仁親王付武官・元帥副官を兼務
1941年（昭和16年）8月：陸軍少佐に昇進
1942年（昭和17年）11月：参謀本部総務課高級課員に就任
1943年（昭和18年）5月：教育総監部第1課員に就任
1944年（昭和19年）5月：陸軍省人事局補任課第1班長に就任
1944年（昭和19年）7月：参謀本部員兼務、大本営参謀に就任
1944年（昭和19年）8月：陸軍中佐に昇進
1945年（昭和20年）12月：復員

戦後、吉江は自衛隊に入隊し、陸上自衛隊の幹部として活躍します。

1952年（昭和27年）7月14日：警察予備隊に入隊（1等警察正）
1953年（昭和28年）8月20日：第一幕僚監部幕僚幹事に就任
1954年（昭和29年）7月1日：陸上幕僚監部第1部副部長（1等陸佐）に就任
1957年（昭和32年）3月28日：陸上幕僚監部幕僚幹事に就任
1958年（昭和33年）5月2日：統合幕僚会議事務局第2幕僚室長に就任
1958年（昭和33年）8月1日：陸将補に昇任
1960年（昭和35年）8月1日：北部方面総監部幕僚長に就任
1962年（昭和37年）8月1日：第13師団長に就任
1963年（昭和38年）7月1日：陸将に昇任
1964年（昭和39年）8月14日：統合幕僚会議事務局長兼統合幕僚学校長に就任
1966年（昭和41年）4月30日：第7代陸上幕僚長に就任
1968年（昭和43年）3月14日：退官

陸上幕僚長時代

陸上幕僚長在任中は、防衛庁長官に恵まれなかった時期でもありました。特に、上林山栄吉長官の公私混同問題は、当時大きな問題となりました。

退官後

1981年（昭和56年）4月29日、勲二等瑞宝章を受章しました。2000年5月17日、肺炎のため東京都港区の虎の門病院で逝去しました。享年89歳でした。

人物像

吉江誠一は、温厚で几帳面な性格であったと伝えられています。旧軍時代から人事畑を歩み、その経験は戦後の自衛隊でも生かされました。組織をまとめる能力に長け、陸上自衛隊の発展に大きく貢献しました。

家族

父親は陸軍中将の吉江石之助、母親は同じく陸軍中将である小野寺重太郎の妹である吉江たけ。姉妹には、それぞれ陸軍軍人に嫁いだ澄子（小野操一郎の妻）と富美子（村木竹雄の妻）がいます。叔母には、陸軍軍人・吉見隆治の妻である花野がいます。

参考文献

* 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。


吉江誠一は、激動の時代を生き抜き、日本の防衛に尽力した人物でした。彼の功績は、後世に語り継がれるでしょう。

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