天野良英

天野良英：激動の時代を駆け抜けた軍人

天野良英（あまの よしふさ）は、1910年（明治43年）2月12日に生まれ、2001年（平成13年）3月3日に逝去した、日本の陸軍軍人、そして陸上自衛官です。最終階級は陸軍中佐、陸上幕僚長たる陸将にまで昇り詰めました。陸軍士官学校43期、陸軍大学校52期を卒業し、第6代陸上幕僚長、第3代統合幕僚会議議長を歴任。息子は第26代西部方面総監の天野良晴です。

軍人としてのキャリア

宮城県立佐沼中学校を卒業後、1927年（昭和2年）4月に陸軍予科士官学校へ入校。1931年（昭和6年）7月には陸軍士官学校を卒業（43期）。同期には、後に陸上幕僚長となる吉江誠一や広瀬栄一、藤原岩市らがいました。同年11月には、歩兵第17連隊に配属され満州事変に従軍。1932年（昭和7年）7月には、小隊長として遼西匪賊討伐中に負傷し、内地へ帰還しました。しかし、1933年（昭和8年）1月には聯隊旗手として再び満州に渡り、熱河作戦に参加。

1937年（昭和12年）11月には陸軍大学校（52期）に入校し、恩賜組で卒業。1940年（昭和15年）には、第22軍参謀として仏印進駐作戦を指導しました。その後、1944年（昭和19年）3月には第27軍参謀として千島列島択捉島へ赴任。その後、東部軍参謀を経て、参謀本部参謀として終戦を迎えます。

戦後の自衛隊での活躍

戦後は公職追放となりましたが、1952年（昭和27年）7月に警察予備隊に入隊。第2師団長、陸上幕僚副長を経て、1965年（昭和40年）1月には第6代陸上幕僚長に就任しました。陸幕長時代には、婦人自衛官の部隊を新設するために、WAC（女性陸軍部隊）の幹部を米国研修に行かせています。陸幕長を1年務めた後、同期の吉江誠一にその座を譲り、その後、統合幕僚会議議長に就任。しかし、これも陸士同期である航空幕僚長の牟田弘國に譲り、1年余りで退官しました。

人物像

旧軍時代から誰からも愛される人物で、陸上自衛隊時代も同期からの支援は厚く、後輩の面倒見も良かったと伝えられています。大森前陸幕長の評判が芳しくなかったため、それと比較して天野の人気は高かったと言われています。

年譜

1931年（昭和6年）7月：陸軍士官学校卒業（第43期）
1931年（昭和6年）10月：陸軍少尉に任官、第8師団歩兵第17連隊付
1934年（昭和9年）3月：陸軍中尉
1937年（昭和12年）8月：陸軍大尉
1937年（昭和12年）11月：陸軍大学校入学（第52期）
1939年（昭和14年）11月：陸軍大学校卒業、恩賜組
1939年（昭和14年）12月：第21軍参謀部付
1940年（昭和15年）6月：第22軍参謀
1940年（昭和15年）12月：教育総監部課員
1941年（昭和16年）8月：陸軍少佐
1944年（昭和19年）3月：第27軍参謀
1944年（昭和19年）8月：陸軍中佐
1944年（昭和19年）9月：東部軍参謀
1945年（昭和20年）2月：参謀本部総務課
1945年（昭和20年）7月：教育総監部第1課
1945年（昭和20年）9月：陸軍省軍務局
1945年（昭和20年）12月：復員
1947年（昭和22年）11月28日：公職追放仮指定
1952年（昭和27年）7月14日：警察予備隊入隊（1等警察正）
1952年（昭和27年）10月15日：保安隊に改編（1等保安正）
1953年（昭和28年）8月23日：第一幕僚監部第三部勤務
1954年（昭和29年）1月20日：第一幕僚監部第四部副部長
1954年（昭和29年）7月1日：陸上自衛隊発足（1等陸佐）
1955年（昭和30年）11月16日：北部方面総監部幕僚長
1957年（昭和32年）8月16日：陸将補に昇任
1958年（昭和33年）5月2日：陸上幕僚監部幕僚幹事
1959年（昭和34年）8月1日：陸上幕僚監部第2部長
1960年（昭和35年）8月1日：陸上幕僚監部第3部長
1962年（昭和37年）7月1日：陸将に昇任
1962年（昭和37年）8月1日：第2師団長
1964年（昭和39年）3月16日：陸上幕僚副長
1965年（昭和40年）1月16日：第6代 陸上幕僚長
1966年（昭和41年）4月30日：第3代 統合幕僚会議議長
1967年（昭和42年）11月15日：退官
1984年（昭和59年）11月3日：勲二等瑞宝章受章
2001年（平成13年）3月3日：肺癌のため、東芝林間病院で逝去（享年91）

栄典

勲二等瑞宝章 - 1984年（昭和59年）11月3日

関連項目

黒い霧事件 (政界)

参考資料

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
『官報』1952年09月26日 本紙 7717 叙任及辞令
* 『官報』1953年05月27日 本紙 7915 叙任及辞令

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