吏党

吏党の概要

吏党（りとう）は、明治時代中期における日本の政治史において重要な役割を担った政党で、特に初期帝国議会において政府寄りの立場を示したことから名づけられました。この用語自体は、かつて自由民権運動を支持していた民党側が反対勢力を指す蔑称として使い始めたものであり、当時の政府やその支持者たちは「温和派」と呼んでいました。

歴史的背景

帝国議会の設立に伴い、自由民権運動の一環として大同団結運動が展開されたことが、吏党の形成に影響を与えました。これに対して、保守的な議員たちはその流れに抗うべく結集し、最初に形成された政党が大成会でした。大成会そのものは政府の意向に従う立場ではありませんでしたが、自由民権運動や大同団結運動に対抗するための共通の立場を持っていました。特に、政府の言論弾圧に対しては、民党と協力して反対する姿勢を見せていました。

吏党という名称は、立憲自由党や立憲改進党が彼らを非難する意味合いを込めて使い始めたものであり、この言葉はその後の政治的な活動にも影響を与えました。特に、幸徳秋水はこの言葉が中江兆民によって初めて使われたとの説を提唱しています。

吏党の発展と国民協会

大成会は後に解散し、その機能が中央交渉部へと引き継がれました。そして1892年には、佐々友房が品川弥二郎を盟主として国民協会を結成しました。これにより、吏党の枠組みがより確固たるものとなりました。しかし、国民協会内で国粋主義者の影響が強まり、政府との関係は次第に悪化しました。

特に第2次伊藤内閣の時期には、自由党が政府に接近し共同歩調を取る中、国民協会は政府の条約改正に対して批判的な立場をとり、立憲改進党と共に硬六派を結成するなどの動きを見せました。こうした背景の中で、吏党や民党という言葉は「親政府」や「反政府」という単純な対立軸だけで語られるものではなくなっていきました。

政治界の変遷

時間が経過するにつれ、「吏党」と「民党」という言葉は次第に時代遅れとなり、代わりに「与党」と「野党」といった表現が用いられるようになりました。特に国民協会が改名して帝国党へと変わる際には、一部のメンバーがこの変化に従わず、自由党の後継政党である憲政党や藩閥官僚と共に立憲政友会を結成しました。このようにして、政治の構造が「政友会」とその反対派という新たな局面へと移行していきました。

最終的には、反政友会の各党も分かれて立憲同志会や憲政会に集結するようになり、吏党や民党という概念は完全に過去のものとなりました。こうした歴史的な変遷を経て、日本の政党政治は新しい形態へと進化していったのです。

まとめ

吏党は、明治時代の政治的背景を理解する上で欠かせない存在であり、その名称の由来や活動の経過は、日本の政治的対立の歴史を紐解く一つの鍵となっています。

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