吸血髑髏船

吸血髑髏船

『吸血髑髏船』は、1968年に松竹が製作した怪奇特撮映画です。監督は松野宏軌、脚本は下飯坂菊馬と小林久三が担当しました。

概要

本作は、『吸血鬼ゴケミドロ』に続く松竹の怪奇特撮映画第2弾として制作されました。当時、映画製作はカラー化が主流でしたが、本作はあえてモノクロで製作され、独特の雰囲気を醸し出しています。横須賀港を借り切って撮影された幽霊船のシーンや、よみうりランドの大プールでの海中シーンなど、特撮技術を駆使した映像が見どころです。

制作の裏側

撮影後、船のオーナーから内容にクレームが入り、大幅なカットを余儀なくされました。脚本の小林久三は、完成した作品を見て「無残さに悲鳴をあげたくなる思いだった」と述懐しています。
また、海中シーンの撮影は秋頃に行われたため、水中への飛び込みシーンを演じた入川保則は、撮影後に高熱を出して寝込んでしまったそうです。 7000トンもの船を借りての撮影や、造形物のコウモリを18体も制作するなど、当時の映画製作の規模の大きさがうかがえます。

ストーリー

金塊を積んだ貨物船・竜王丸が海賊に襲撃され、乗組員は皆殺しにされます。その中には、船医・西里とその新妻・依子も含まれていました。3年後、主犯である悪漢たちは、山分けした金塊を元手に別々の人生を送っていました。一方、依子の双子の妹・冴子は教会に引き取られ、恋人の望月と共に静かに暮らしていました。

ある日、漂流する竜王丸を発見した冴子は、船内で姉・依子の亡霊に遭遇します。姉の亡霊に憑依された冴子は、復讐を開始。不気味な力で、憎むべき悪漢たちを次々と追い詰めていきます。果たして、冴子（依子）は復讐を遂げられるのか、そして、事件の真相とは一体何なのでしょうか。

キャスト

冴子（依子の双子の妹）／依子（西里の新妻）：松岡きっこ
望月（冴子の恋人）：入川保則
西里（船医。依子の夫）：西村晃
田沼／明石（神父。冴子の養父）：岡田眞澄
末次（悪漢。キャバレーの支配人）：金子信雄
辻（悪漢。不動産業者）：小池朝雄
江尻（悪漢。ギャンブル狂）：内田朝雄
小野（悪漢。潜水夫）：山本紀彦

スタッフ

監督：松野宏軌
脚本：下飯坂菊馬、小林久三
製作：猪股尭
撮影：加藤正幸、赤松隆司
音楽：西山登
美術：森田郷平
編集：太田和夫
協力（特撮監督）：川上景司、福田太郎

映像ソフト

2003年には、ニューテレシネ・デジタルリマスター修復版DVDが発売されました。『吸血鬼ゴケミドロ』、『宇宙大怪獣ギララ』、『昆虫大戦争』とセットになったDVD-BOX『S-F CUBE』も同時発売され、話題を呼びました。

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