吹上町田尻

吹上町田尻（ふきあげちょうたじり）

吹上町田尻は、鹿児島県日置市に位置する大字です。旧伊作郷の一部であり、その歴史は古く、鎌倉時代からその名が見られます。人口は288人、世帯数は146世帯（2020年10月1日現在）で、静かな地域です。郵便番号は899-3308。

地理

吹上町田尻は、日置市の南部に位置し、小野川の中流域に広がっています。北から西にかけて吹上町永吉、南に吹上町中原、西に吹上町小野、吹上町花熟里、西から南にかけて吹上町与倉と接しています。この地域は、豊かな自然に囲まれ、小野川がその景観を彩っています。

特に、字域南部にある中島常楽院は、薩摩琵琶の発祥地として知られ、県の指定文化財となっています。この地は、歴史と文化が深く結びついた場所と言えるでしょう。

交通面では、字域の南端部に国道270号が走り、中央部には小野川に沿って鹿児島県道296号田之頭吹上線が南北に通っています。これにより、地域内外へのアクセスが比較的容易です。集落は、小野川付近と永吉川上流域の山間部に存在し、それぞれ異なる雰囲気を持っています。

河川

小野川

吹上町田尻の主要な河川は小野川です。この川は、地域の景観を形成するだけでなく、農業用水としても重要な役割を果たしています。

歴史

田尻の成立と中世

田尻という地名は、鎌倉時代から確認されており、薩摩国伊作荘の一部でした。建長7年の関東下知状には、島津忠久の自名村の一つとして「田尻・和田・大野三ケ村」と記載されているのが初見です。

近世の田尻

江戸時代には、薩摩国阿多郡伊作郷に属していました。村高は時代によって異なり、「天保郷帳」および「郡村高辻帳」では1,820石余、「三州御治世要覧」では1,330石余、「旧高旧領取調帳」では1,292石余と記録されています。宝暦6年には、今和泉島津家の持切在となり、その後は今和泉郷の領主である今和泉島津家の所領となりました。

町村制施行以後

1889年の町村制施行により、伊作郷の区域は伊作村となり、田尻村は伊作村の大字「田尻」となりました。1922年には伊作村が町制施行し伊作町となり、1955年には伊作町と永吉村が合併して吹上町が新設され、田尻は吹上町の大字となりました。2005年には、吹上町が伊集院町、東市来町、日吉町と合併して日置市が誕生し、大字田尻は日置市の大字「吹上町田尻」として現在に至ります。

施設

教育

日置市立花田小学校
1879年に花田小学校として設置され、1887年に花田尋常小学校、1921年に花田尋常高等小学校、1941年に花田国民学校と変遷し、1947年に伊作町立花田小学校、1955年に吹上町立花田小学校となり、2005年に現在の日置市立花田小学校となりました。

寺院

中島常楽院
薩摩琵琶発祥の地として知られる寺院で、県の指定文化財となっています。

小・中学校の学区

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなります。（詳細については、日置市教育委員会にご確認ください。）

交通

道路

国道270号
鹿児島県道296号田之頭吹上線

鉄道

字域内には鉄道は通っていません。かつては、1984年まで鹿児島交通枕崎線の吹上浜駅や永吉駅が最寄駅でしたが、同線の廃止に伴い利用できなくなりました。

脚注

[1] 参考文献

『日本歴史地名体系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 4-582-49047-6。
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。ISBN 978-4040014609。

関連項目

田尻 (曖昧さ回避)
* 吹上町 ([[鹿児島県)]]

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