周布元兼

周布元兼（すふ もとかね）

周布元兼は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。石見国那賀郡周布郷を本拠とした国人・周布氏の第14代当主であり、大内氏、そして後に毛利氏の家臣として活躍しました。

生涯

天文15年（1546年）に周布武兼の子として生まれます。わずか3歳という幼少の天文17年（1548年）12月14日に、父から所領を譲られました。

天文24年（1555年）9月には毛利元就に帰属し、その勢力下に入ります。弘治3年（1557年）5月12日には、吉地右衛門尉の取りなしにより、毛利隆元を烏帽子親として元服し、「元」の偏諱を受けて元兼と名乗りました。同年8月には、長門国大津郡日置庄40石や同郡三隅庄50石などが与えられ、さらに石見邇摩郡内の福光兼教の旧領100貫を始めとして、合計300貫を与えられました。これらの所領は、彼の忠誠心と武功に対する毛利氏からの評価の高さを示しています。

元亀4年（1573年）4月7日には、毛利輝元から兵庫頭の官途を授けられています。これは、彼の武将としての地位と名誉をさらに高めるものでした。天正4年（1576年）に足利義昭が備後国鞆に移った際には、一族の周布弾正忠を名代として派遣しました。この行動は、周布氏が中央の動向にも目を配り、一定の影響力を持っていたことを示唆しています。

天正6年（1578年）の播磨国上月城攻めでは吉川元春の軍に属して奮戦しましたが、同年6月9日に惜しくも戦死しました。享年33歳という若さでした。彼の死後、嫡男の元盛が後を継ぎました。

周布元兼は、若くして家督を継ぎ、激動の戦国時代を生き抜いた武将でした。大内氏から毛利氏へと主家を変えながらも、常に忠誠を尽くし、領地の安定と拡大に貢献しました。彼の短い生涯は、戦国時代の武将の типичный な生き様を体現していると言えるでしょう。

参考文献

『萩藩閥閲録』巻121「周布吉兵衛」
岡部忠夫編『萩藩諸家系譜』（マツノ書店、1999年復刻）
* 舘鼻誠「元就・隆元家臣団事典」（河合正治編『毛利元就のすべて（新装版）』新人物往来社、1996年）

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