和洽

和洽（わ こう）

和洽（わ こう、か こう、生没年不詳）は、後漢末期から三国時代の魏にかけての人物。字は陽士（ようし）。豫州汝南郡西平県の出身。

生涯

人物批評家の許劭（きょしょう）によって見出され、孝廉に推挙され、大将軍からも招聘を受けるも、いずれも応じませんでした。冀州に拠った袁紹（えんしょう）が汝南の士大夫を招聘すると、和洽は冀州を危険視し、一族と共に荊州の劉表（りゅうひょう）の元へ身を寄せました。

劉表は和洽を手厚くもてなしましたが、和洽は劉表を暗愚と判断し、さらに南へ下り武陵に居住しました。

建安13年（208年）、曹操（そうそう）が荊州を平定した後、招聘に応じて丞相掾属（じょうしょうえんぞく）となりました。当時、曹操の下で官吏の人事職務にあたっていたのは崔琰（さいえん）と毛玠（もうかい）でしたが、和洽は彼らの清廉さを重んじる姿勢が行き過ぎていると批判しました。

建安18年（213年）11月、王粲（おうさん）・杜襲（としゅう）・衛覬（えいき）と共に、藩国として建国された魏の侍中（じちゅう）に任命されました。杜襲と共に曹操から厚い信任を受けましたが、競争心の強い王粲からは嫉妬を受けました。毛玠が讒言（ざんげん）を受けると、曹操に事実関係を調査するよう強く依頼しました。しかし、曹操が讒言者を庇ったため事実は明らかにならず、毛玠は失脚したものの、免職処分で済みました。

建安20年（215年）、曹操が漢中の張魯（ちょうろ）を破ると、その地の住民を移住させる策を提言しました。曹操は当初この策を受け入れませんでしたが、最終的には漢中を放棄し、住民を移住させる決断をしました。その後、郎中令（ろうちゅうれい）に転任しました。

黄初元年（220年）、文帝（曹丕（そうひ））が即位すると、光禄勲（こうろくくん）・安城亭侯（あんじょうていこう）に取り立てられました。黄初7年（226年）に明帝（曹叡（そうえい））が即位した後、爵位は西陵郷侯（せいりょうきょうこう）に昇進しました。さらに転任して太常（たいじょう）となりましたが、清貧な生活を堅く守り、明帝から穀物と絹帛を賜与されるほどでした。死去後、簡侯（かんこう）と諡（おくりな）されました。

和洽の子は和禽（かきん）・和逌（かゆう）。孫（和逌の子）は和嶠（かきょう）・和郁（かいく）がいます。

人物

清廉潔白な人柄で、質素な生活を送り続けました。その姿勢は皇帝からも評価され、褒美を授けられるほどでした。

評価

人物批評家の許劭に見出されるなど、若い頃から才能を認められていました。曹操からも信任が厚く、魏の政治において重要な役割を果たしました。

参考文献

* 『三国志』魏書 巻23 和洽伝

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