崔琰

崔琰（さい えん）

崔琰（163年 - 216年）は、後漢末期の武将・政治家。字は季珪（きけい）。冀州清河郡東武城県（現在の河北省衡水市故城県）出身。

生涯

若き日は剣術を好んだが、後に学問に励み、鄭玄に師事。『論語』や『韓詩』を読んだ。黄巾賊の襲来により避難生活を送るも、各地を遊歴し、見識を広めた。

袁紹に招聘され、その家臣となる。兵士の暴挙を諫め、国境警備を献策するも、受け入れられなかった。袁紹の死後、後継者争いに巻き込まれるのを避け、病と称して仕官を拒否。袁尚の怒りを買い投獄されるが、陰夔らの嘆願により釈放された。

曹操が袁氏を滅ぼすと、その才能を認められ、冀州の別駕従事に任じられる。曹操の軍事優先の姿勢を諫め、民を思うように訴えた。曹操が并州を討伐すると、曹丕の補佐を任され、その放埓な行動を厳しく諫めた。

曹操が丞相となると、東曹・西曹の属官、徴事を歴任。魏公となると尚書に任命され、毛玠と共に人事を担当。清廉さを重視するあまり、和洽から批判を受けた。曹操が後継者選びに迷うと、娘が曹植に嫁いでいたにも関わらず、曹丕を支持。その公正な態度が曹操の信頼を得て、中尉に任命された。

威厳ある容姿で知られ、曹操の身代わりを務めた逸話も残る。司馬朗と親交があり、その弟・司馬懿の才能を高く評価した。孫礼、崔林、盧毓らを評価し、彼らは後に三公にまで上り詰めた。友人の遺児を養育するなど、人情にも厚かった。

曹操が魏王になると、崔琰が推挙した楊訓が曹操を賛美する上奏文を提出。崔琰がこれを批判したことが丁儀の讒言を招き、曹操の怒りを買い投獄される。不屈の態度を貫いたため、曹操によって自害を命じられた。

陳寿は、崔琰の死を惜しみ、無実であったと信じられていると評した。袁宏の「三国名臣序賛」にも名臣として名を連ねている。

三国志演義

小説『三国志演義』では、曹操の魏王即位に反対し、撲殺されるという展開になっている。

崔琰は、その高潔な人格と先見の明によって、後世に語り継がれる人物である。

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